普通に部室でくつろいでいた訳だ。テスト期間とは暇なもので、自分が取っていない教科のテストのときは、だいたいの生徒が部室にいるか、あるいは自習室で勉強か。あ、もちろん部室で勉強する人もいるんだけど、俺がそんなことするはずもなく。
 暇をもてあましたように、寝転がっていたときだった。



「丸井!?」
「っ!なんだよびっくりしたな!」
「なっ、あんた!……息整えてそこに正座しなさい」



 …なんで正座しちゃうんだろう俺。部室にはこいつと俺しかいなくて、屋根におちる雨音がやけに響く。



「な、なんだよ」
「いつからそんな子になっちゃったの!前まではもっとまともで、いい子だったのに!」
「すまん状況がわからん」
「ピアス!」
「ピアス?あ、これ?似合うだろ」
「っざけんな!!」



 男尊女卑の社会とはよく言ったもので、今はもう女尊男卑に変わりつつある。痴漢の冤罪やら自意識過剰なセクハラやら、ったく、俺は男性専用車両に賛成だぜ。

 じゃなくて、俺は今この女に机を投げられた。女はか弱いとはよく言ったもので以下略。上手く避けたからいいものの、当たっていたらかすり傷ではすまないわけである。
 とか、実際俺はこんなに冷静じゃなくて。



「うおおおっ、あぶねっ。危ないだろコレおい!」
「私はあんたをそんな不良息子に育てた覚えはありません!」
「育てられた覚えもないし、ピアス=不良ってお前古いな」
「ああ?」
「…ふ、古きよき日本の文化ですねわかります」
「だいたいね、ピアスの数は不良さに比例すんのよ!今すぐそれ塞ぎなさいこのバカ息子が!バカ!不良!」
「偏見だめ絶対。ていうか四天宝寺の財前とかどうなるんだよ、不良の極みじゃん」
「ったく、お父さんも何か言ってやりなさいな」
「お父さん!?お父さんいんの!?」
「ブンちゃんや、母上はおまんのことを思うて鬼になっちょるんじゃ。母上のことも考えてやりぃな」
「お父さんっつーか、どっちかっていうとおばあちゃんじゃね?」



 結局、ギャグなんだか本気なんだかわからないままに終わったピアス事件。一週間仁王がおばあちゃんキャラになった以外、とくに変わったことはなかった。
 ただ、まだちょっと早かったかな、とか思ってみたり。


――――
え、ブランクって怖い
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