私は今、幸村から頼まれた大会資料を部員分数枚ずつまとめている。隣では仁王が、机に身体を預けながらホッチキスをぱちぱちと鳴らせて遊んでいた。大丈夫だ、芯は入ってない。
 そんなとき、ガラッと教室のドアが開き、ガムを膨らませながら丸井が入ってきた。


「なー、柚ー」
「ん?」
「……っ!、おま!」
「は?」
「ちょちょちょ!」
「なんじゃブンちゃん」
「いい!それいい!」
「「は?」」



 いきなり興奮し出した丸井は、どうやら、メガネをつけた女の子が振り返り様に上目遣い、というシチュエーションが好きらしい。まさにさっきの私。
 それにしても何だ、こんなに興奮している丸井は、チア部の可愛い子と話していたとき以来見たことがない。どっちも女関係か。丸井も中学生なんだなと思った。



「もう一回!もう一回やって!」
「普段は女の子あつかいしないくせに」
「そんなん今関係ねぇだろ!はやく!」
「えー、しょうがないなー」
「ほら仁王もこっち来て見てみろって!」



 まぁ、やるからにはとことんやりたいわけで。足を組み、髪を片方に流して、よし準備完了。丸井が「柚、」と声をかけてきたので、メガネをくいっとあげつつ「ん?」っと言ってみた。案の定丸井は悶えている。なぜだか勝った気がした。



「いい!超いい!!」
「おまん、ちょ、もう一回!」
「仁王までもかよ!」
「…ゴホンッ、…柚?」
「ん?」
「っにゃあああ!!」
「いい!おまんモテるわそれ!」
「まじか」
「一生やってろ!な!」
「やだよ!」
「いいわ、本当メガネ女子いいわ…」
「私ら本当バカだね」
「はははっ。そうだそうだ、バカばっかだな!」
「「特に丸井がな」」
「お前らもな!」
「あんだとコラ!」
「おい柚」
「…ん?」
「うぁあああっ!!いい!」



 そんなとき、校舎閉めますよーと言いながら事務員の人が教室に入ってきた。「あ、はい、すぐ出ます」その人が去ったあと我に返った私たちは、さっきまでの私たちにまた爆笑するのであった。

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