「みんな書けた?」
「バッチリだC!」
「おぅ!」
「命令っつってもなー…」



 部室でぐーたら寝そべったりルービックキューブを必死で攻略してたり、各々過ごしていた私たち。そんなときがっくんが棚に置いてあるトランプを見つけた。こんな高そうなトランプ、跡部のもの以外に考えられない。
 が、しかし、暇をもて余していた私たちがやらないはずがないのである。でも、ただゲームをやるだけじゃ盛り上がらないので、それぞれが命令を紙に書いて、敗者三人は勝者の命令に絶対従順しなければならないというルールをつくりあげた。



「じゃ、ジロちゃんから時計回りね」
「なんでトランプタワーなんだよ。普通にババ抜きでよくね?」
「は!?宍戸バカか!普通じゃねーのがいいんだよ」
「つまり中二病か」
「がっくんやめときなよ〜。宍戸勝つ自信ないからそんなこと言ってるんだよ〜」
「は?てめレギュラーなめんなよ!お前こそ働かないマネージャーのくせに」
「はい宍戸死亡決定ー!マネージャー侮辱したこと地獄で後悔させてやるし」
「はい、次宍戸だC」



 と、まぁこんな感じでバカにされたからには負けたくないわけで。紙に書いた内容も忘れた頃、すでに宍戸とがっくんはリタイアしていた。がっくんなんか手先をプルプルさせて「うがー!」なんて言いながらトランプタワー崩したし。集中力が勝敗を決めたのである!



「まだジローが残ってるじゃねーか」
「やべ、口に出てた」
「ジローがんばれジロー!」
「はい、がっくん明日のドリンク榊先生の液体に決定ー」
「何だよ監督の液体って!こえーよ!」
「液体っていうか体液、みたいな?」
「うわっ、悪かったな柚…」
「効果絶大かよ!」
「はい、次ジロちゃん」
「…っ、」



 宍戸とがっくんの二人はいいとして、最初から最大の敵はジロちゃんだったりする。さすがボレーヤーといったところか、手首の柔らかさがこのトランプタワー崩しちゃだめだよ対決(ネーミングセンス?気にしちゃだめだ!)に向いてるらしい。
 でも勝ちたい!勝って宍戸にぎゃふんと言わせたい!



「あ、あんなとこにUFO」
「え!?」



 バンッ、ガタッ、ドサササー、とそこからの流れは早かった。立ち上がったジロちゃんの膝がテーブルにあたり、そのままトランプタワーは無惨にも崩壊。私の勝利である。



「…ジローお前何才児だよ」
「えー!柚ずるいCー!!」
「ひっかかったジロちゃんが悪いんだもん」
「…あ、跡部」
「へーん、そんなのには騙されないからね私。跡部なんかぜんっぜん怖くないからね私。あんなヤツ一捻り、あいたっ!」
「あーん?俺様が何だってー?」
「いたたた!何でもないですぅ!今日もお姿麗しゅうございますね跡部様あああいたいいたいっ」



 いました。ちょうど部室に入ってきたところなのか、跡部は本当に私の後ろにいたらしく、しかもきっちり話を聞いてたらしく、私は跡部にこめかみグリグリの刑を頂きました。しかも忍足とか日吉とか…ってみんないるし!日吉はそのゴミを見るような目をやめろ!



「ったく、しょうがねーな。で、お前の命令は何だ?」
「たしかこの辺に紙が…あ、あったあった」
「……っ、」



 私は今更になって命令のことを思い出した。あの時は暇すぎて頭おかしくなってたのかな私!とにかく、がっくんはまだ私の命令が書かれた紙を広げてないので、阻止できる!



「わたたたたっ!ちょ、ストップ!」
「え?」
「やっぱ命令とかいいわ!帰ろ!このまま帰ろ!」
「なんで?」
「だってこんな、跡部とかみんないるし…!」
「あーん?俺様に見せられねぇっていうのか?」
「ぎゃー!」



 がっくんからその紙をひょいっと奪った跡部、彼の元にみんなが集まる。もう無理だ…。私には部室の隅で赤い顔を隠すように丸くなるしか、道はなかった。




ずっと私と仲良くすること!




「っは、可愛いこと書くじゃねーの」
「やだもうほんと忘れて下さい…」
「先輩小学生ですか」
「すみません、なんかもう息吸っててすみません…」
「柚、」
「もうそっとしといて下さいすみません…」
「大丈夫だよ」
「…え、」
「何を今更言ってんだおめー!当たり前だろ!」
「柚大好きだC!」
「ぎゃっ、ジロちゃん苦しいって!」
「仕方ねぇ、俺様がお前の言うこと聞くなんざこれっきりだぞ」
「せや、みんなお前のこ」
「みんなっ!ありがとう!」
「俺の話遮んなや!」

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