今日は珍しく雪が降った。それくらい寒くて、教室でも一日中ストーブがたかれている。おかげで現在の教室の気温は20度。もうここは天国だ。あったかい…!


「さっぶ!!」
「そんな分かりきってることを…!」
「あたしら今日部活行ってくるわ」
「いってらー」
「柚は?」
「彼氏と放課後デート」
「「死ね」」



 教室を出た途端に冷たい空気が私たちを襲う。寒すぎるので、私はポケットに入っている手袋を装着することにした。因みにわたし、防寒具の中で手袋が一番好きなんです。

 て、そんなのはどうでもよくて。友人二人が部活に行った後、私は下駄箱で待つことにした。誰を、って、例の彼氏を。……というのはまぁ冗談で、私も彼のことが好きで彼もきっと私のことを好きなんだと思うんだけど、別に付き合っているわけではない。放課後デートと言ってもただ一緒に帰るだけ。今のままの関係でいいんじゃない?ということになっている。



「待たせました?」
「いーえ。帰ろっか」
「うん」



 もじゃもじゃ頭の可愛い後輩がひょこっと後ろからのぞいてきた。切原赤也くん。テニス部のスーパールーキーなんだって。



「さぶさぶさぶー!」
「あ!!赤也くん手袋してない!」
「…それがどうしたんすか?」
「そんなんだから寒いんだよ!!冬と言ったら手袋でしょ!手袋最強だよホント!」
「そういえば先輩手袋大好きでしたね」
「おーよ」
「あーしっかしまじ寒いな今日ー!」



 午前中に積もった雪はまだ溶けていなくて、赤也くんと並んで歩く度シャリシャリと音がなる。



「…ん」
「?」
「片方貸してあげる」
「ありがとう、ございます…?」
「こうすれば二人で温かいね」



 片方の手に手袋をはめて、ぎゅうっと赤也くんの手を握った。


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