「どういうこと…?」
「……」
「周助、」
「僕はてっきり英二から聞いてると思ってて。もしかしたら柚はいろいろと勘違いをしているのかもしれない」
3年前、私はたしかに周助に好きだと伝えて、彼からは付き合ってる人がいると言って断わられた。それまでの周助と彼女の仲のよさそうな様子は見ていたし、友達として、チームメイトとして私を見ていたのであろう周助にふられたことは、今になってなんとなく分かる。
勘違いって、なにを?
周助の言葉にひどく動揺している自分を客観視することができない。
「わ、私が告白したことと関係してる、よね?」
「うん」
「周助、彼女と相思相愛っぽかったし。私はちゃんと吹っ切ったよ」
「それ!」
周助の大きな声に、びくりと身体が震えた。
「彼女には、僕の気持ちを見透かされてた」
「…え?」
「僕がずっと好きだったのは柚だってこと、見透かされてたんだ。なかなか別れてくれなかったけど」
…、周助が私を好きだった?ふられたのに?
「…意味が分からないよ」
「僕は、たぶん柚が好きになってくれる前から柚が好きだった。でも、柚は英二とすごく仲が良くて。恋愛感情がないのかもよくわからなかった。見せつけるように、彼女の告白をOKしたんだ」
「……」
「あの頃は大人になれなかった。…君から告白されたときはびっくりした。嬉しかった。けれど、タイミングが悪すぎた」
「…うん」
「好きだった、よ」
やさしい口調でそんなことを言う周助に、怒るべきなのか泣くべきなのかわからない。そろそろ時効だから言ってくれたのかな。
あれでいてなかなか鋭い英二には気づかれていたみたいで、でも、英二は私があんなに泣きじゃくっていたのを見て、言うに言えなかったんだと思う。
「ちゃんと過去形だね。話してくれてありがとう」
「……」
「周助?」
「今も、」
「うん?」
「こんなこと言ったら嫌われるかもしれないけど、あれから柚への気持ちは変わったことがないよ」
まっすぐに私を見て言う周助。泣きそうになった。それなのに、心臓は今だ鳴り止まない。