仲良し3人の関係を崩したくなかったと言えば聞こえはいいが、さしずめ私には勇気がなかった。ただ怖かっただけなのだろうと、窓の外に目をやりながら思う。「どないしたん?ため息なんてつきよって」といつもの調子で言う白石に、ドキドキと心臓が爆発しそうになった。
「なんもないって」
「ははっ、嘘やろ。そんなん顔見ればわかんねん」
「1、りんごジュースが売り切れてた。2、消しゴム忘れた。3、シャー芯が異常に折れる」
「なんや全部地味にイヤなやつやな」
「どれでしょう?」
「んー、3番!」
「はい外れ。全部です」
「なんやねんそれー」
もういっそこのままの方が彼女というポジションよりも近いと思うし、なにより居心地がいい。白石に彼女ができたときも、彼女が嫉妬するくらいに私たちは仲がいいままだった。
それでも、やっぱり、と求めてしまう。好きで好きで、どうしようもなく好き。
「好き」
そんなある日、私は謙也に告白された。ここ数日の二人から感じる違和感と謙也の表情に、謙也も私と同じ悩みを抱えていたんだと思った。少しだけ嬉しかった。そして、そんなしがらみをふりきって真っ正面から告白できる謙也を心底尊敬した。断るのが申し訳ない。罪悪感に心が痛かった。
「ごめん、私…」
「ええねんええねん。これ言わんと、俺進めへんかったし」
「うん…」
「言えてスッキリしたわぁ。あんな、こんなんめっちゃ自分勝手やて思うんやけど
「今まで通り!!…普通に話そうね。いっぱい出かけたり、遊んだり」
「おぉ、なんやお前ようわかったな」
「謙也は大切な友達だもん」
「せやなっ」
私がもし白石に思いを伝えたとしても同じことを言われるんだろうけど、私には謙也みたいにスッキリ終わらせられる自信がない。
私も謙也も自分にいっぱいいっぱいだったのだろう。だって、これが普段なら、二人が恋をしていることはうっすらにも気づいてたはずだ。
白石は全部分かってたのかなと思うと、少しだけ不安に駆られる。私の気持ちを分かっているのかもしれないけど、分かってないかもしれない。
それでもやっぱり、白石に思いを伝えるのはできそうになかった。
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これ長編にしたいわー。