柳生と満員電車


 朝の通勤通学電車は人が多いなんてものではない。これでもかというくらいに人を詰め込み、小さい箱で運ばれる私たちはなんて滑稽だろう。
 同じ制服を着たひとがいるのはまぁ当たり前で、そんな中でかばんを握りしめ下を向いてなにかを我慢している少女を見つけた。唇を一生懸命噛んでいる。

 痴漢だ。すぐにわかった。

 人並みをぬいながら頭のなかでシミュレーション。止めたまえ!と痴漢男の腕をひねりあげ、いろいろ言って、少女を助ける。さすが私、紳士だ。


「やめたm
「…いい加減にしろよ。痴漢なんてみっともないことすんなハゲ」



 少女は強かった。私は振り上げた腕をそっと元に戻した。


 
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