ジリリリリという目覚まし音が枕元で聞こえる。それを慣れた手つきでバンッと止めて再び夢の世界に落ちれば、二度目の目覚ましが鳴った。
 それをまだハッキリしない意識で止める。ああ、今日学校ないじゃん休みじゃん。今何時だ、11時か…。休みの日なんだし寝よう、そうしよう。そう思い再び眠りにつこうとしたら、大事なことを思い出した。


「あああああああ!!」


 今日、一氏と出かけるんだった。


 忘れてた!ガッツリ忘れてた!しかも集合は駅前に10時、今の時間は11時12分。あれれ、計算があわない。とか、落ち着いてる場合じゃない。これが白石とか謙也ならいいのだが、相手は一氏なのだ。「遅い!!どんだけ待たせんねんボケコルァ!」…張り手は必至だな。慌てて携帯を確認すると不在着信とメールがいくつもきていて。顔面蒼白、言うまでもなく一氏からである。私はそれさえも確認せずに、急いで手元の服を着てコートを羽織ってカバンをもって。

 1秒でも早く着くよう、駅前までの道を必死に走った。ハアハア、しんどい。しんどいけど張り手よりはマシだ。あいつの張り手は本気だから困るんだ(経験済み)。

 走って走って、とにかく走って、ようやく駅についた私は壁に寄りかかる不機嫌オーラ満載の一氏ユウジを発見した。そのまま走って一氏のもとへ行くと、一氏の眉間のしわが更に増えたような気がする。膝に手をついて必死に息を整えて、ごめん!そう謝ろうとしたらそれは一氏の声に阻まれた。



「走ってくんなや!!お前アホか!」
「………は」
「お前ほんっまアホやな!アホ!このアホんだら!」
「いや、待って。状況がイマイチ分かんないんだけど」



 てっきり張り手がくるのかと思っていたら、走ってくんなって、え、何言ってんの意味わかんない。頭にハテナマークを浮かべる私に、一氏は「メール読んだやろ!?」と眉間にしわを寄せて言った。メール、見てない。そう言ったらまた「お前アホや!アホ!アホ!」とひたすらにアホを連呼してきたので(ボキャブラリー少な、ううん何でもない)、私はメール画面を開いた。そして、固まった。固まって、きっと顔が赤くなったんだと思う。気のせいだと信じたいけど。




12/11 10:31
From:一氏ユウジ
Sub:(non title)
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いま駅前。







お前アホやから転ぶねん
急ぐなアホ



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