「耳当てよーし!」
「マフラーよーし」
「帽子よーし!」
「手袋よーし」
「膝掛けよーし!」

「あったかあったか〜」
「あったかいね〜」


 さて、この後のホームルームが終われば部活か。机の中の教科書類を鞄につめて、ふぅと一息ついたとき、何やらうるさい集団(っていうかアイツら二人)が目についた。うるさいっていうか、マイワールドに染まってるっていうか。周りの奴らは「よかったねぇ」なんて母性的な目で見てるし。
 同じテニス部としてこれはどうなんだろうか。先生もまだ来ないようだし、とりあえず慈郎と水瀬の元に向かった。



「お前ら何してんだよ」
「「ぽかぽかレンジャー!」」
「…や、意味わかんねぇ」
「巷では地球温暖化やら何やら騒がれてるけど、」
「この冬の寒さは普通じゃないC」
「よってこの冬をぽかぽかあったか乗り越えるために結成された、そう!」
「「ぽかぽかレンジャー!」」


 二人はさながら仮面ライダーの変身ポーズのように手を上に上げ、そう叫んだ。ちょ!恥ずかしいだろーが!その手をおろせ!
 慈郎はというと、今のでずれた帽子をうさぎの描かれた手袋でぐいっと直した。これがまた似合っている。うさぎ手袋が似合う男子中学生は、全国探してもコイツくらいなもんだろう。


「あ、宍戸も入りたいの?」
「全力で遠慮する」
「宍戸マフラーしかしてないC。はい、この手袋貸したげる!」
「…さんきゅ」


 全力で遠慮しようとしたが完全にスルーされた。しかも笑顔で。渡されたのは、くまさん柄の手袋…。俺はこれをどうすればいいのか。とりあえずコイツらのキラッキラした視線が痛いので、大人しくつけることにした。



「よし、ぽかぽかブルーに任命しよう」
「俺は俺はー?」
「じろちゃんはぽかぽかイエローね!私はぽかぽかグリーン兼あったか斬り込み隊長」
「えー、俺も隊長がいいC」
「隊長は私なのだ!少しは妥協したまえ慈郎二等兵!」
「二等兵ー!やったー!」
「…慈郎、二等兵の意味分かってるか?」
「ううん、知らないC!」
「あ、じろちゃん見て!この毛糸の靴下超かわいい!」



 うん。いいよ、お前らが幸せならそれでいいよ。何かの雑誌を見て盛り上がっている二人を見て、クラスメイトに「お前も大変だな」と言われた。もう慣れっこだ。とりあえず、ぽかぽかブルーに任命されたので、明日からは耳当てをしてこようと思う。


――――
慈郎ちゃんは寒がりだと思う。


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