「かーわーうぃーうぃー」
「違うよがっくん。か〜わ〜うぃ〜うぃ〜」
「ムズいなコレ!最近のJKってすごいな」
「あと、GHQで帰宅部らしいよー」



 帰る方向が同じだから一緒に帰るのは分かるけど、なんで向日さんとマネージャーが二人乗りしてるんだ。ついでに言うと、会話の内容もいまいち分からない、ていうか分かりたくない。(因みにJKとは女子校生の略であり、断じてジャッカル桑原の略ではない)

 そんなアホな先輩二人の少し後ろをつけるように、俺も自転車をこいだ。着々と冬に向かっている今、ふきつける風が冷たい。


「日吉もやってみ?か〜わ〜うぃ〜うぃ〜」
「嫌ですよ。ていうか古いですよそれ」
「え!?まじ?」
「ちょ、嘘教えんなよなお前!」
「現役JKが聞いてあきれますね」
「くっそー」


 ぴゅうっと一際冷たい風邪がふいた。柚先輩のスカートがふわりと浮く。短いだろそれ、パンツ見えるぞ。
 若干イラつきながらそれを見ていると、また風がふいた。スカートを抑える手とか、チェックのマフラーにふんわり入れられている髪とか。無意識に見ている自分がいる。



「柚先輩、」
「ん?」
「……」
「なに?」
「いや、その…、」
「飴?あげないよリンゴ味は」
「いりませんよ」
「グッサー、こういうのばっかハッキリ言うよね」


 そうじゃ、なくて。気づいたら名前を呼んでいて、何を言いたいか自分でも分からないのに。
 …向日さんばかりなのが、嫌だった。



「や、やっぱり飴玉下さい」
「きのこ味はないからね」
「いりませんよ」
「ぶどうとレモン、どっちがいい?」
「ぶどうで」


 ん、と言って先輩に飴玉を渡される。一瞬、たった一瞬だけど指が触れて。ちょっとだけ恥ずかしくなった。



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