クエッ





「クポ〜!!
オイラはこの森の主『メネ』!こいつはオイラの相棒チョコボの『チョコ』だ!」

「クェ〜〜〜ッ!」

「そんでもって、ここは………チョコボの森!」






チョコボの森





広い敷地内をモーグリとチョコボが走り回っている。
人生で初めてこんな大きな鳥を、柵も無しに間近で見た。


「(初チョコボ………!!)
チョコボに乗りたいんだけど、ギザールの野菜って分けてもらえる?」

「急いでるクポ!?」

「そう。それで………」

「チョコにのって行くといいクポ!モンスターと遭遇しないで旅ができるッポ!
チョコ、こっちに来るッポ!」


ぜひ乗ってくれと言わんばかりに、話がどんどん進んでいく。
しかしそれとは正反対に、メネが呼んでもチョコはなかなか近付いてこない。
少し後ずさっては項垂れて、その後こちらをじっと見つめるという繰り返し。


(あ、あれ?そういえばチョコが人に近付けないのって、メネと逃げてきたって話だった気が………)


サーッと血の気が引くような感覚。
まずい。今ナチュラルにミスをした。
ここがチョコボの森っていうことをジタンでさえ知らないはずだと気付く。
チラッとジタンの方を見れば、嫌がるチョコを見ているだけだった。
さっきの引っ掛かりはこれか〜!とチョコのように私も項垂れる。


(絶対に気付いているのに言わないのね)


彼の優しさをありがたく受け取り顔を上げると、まだまだチョコに苦戦しているところだった。


「おいおい、イヤがってるんじゃ………」

「そんなことないクポ!
チョコは気に入らない相手ならあっというまに姿をくらますクポ!
チョコ、こっち来るクポ〜ッ!!」

「クェェ〜〜ン」


本当ならここで走り去るはずのチョコが、去ることなくその場に留まる。
もしかして、この場で手懐けられるかもしれない………そう思った私はメネからギザールの野菜を受け取った。


「〜〜〜こうなりゃぶっつけ本番!!
はい、ギザールの野菜!これを使えばチョコを呼べるッポ。
チョコは特にあんたのこと気に入ってるッポ。だから、呼べば絶対に………」

「あら、嬉しい。私もチョコボ大好きよ。
ほ〜ら、ちっちっち………」


ちっちっち………に合わせてギザールの野菜を左右に揺らすと、チョコの首も左右に動く。
完全に釣られている姿が可愛すぎる。


「ね、ねえ………ツカサのやり方って、猫とか呼ぶ時のではなかったかしら?」

「あ、ああ………」

「お姉ちゃんってすごいんだね!」

「「………………」」

「ちっちっち。ほーら、怖くないですよー………あ、食べた」


ひょいっと持っていた野菜を食べると、美味しかったと言っているかのように可愛く鳴いた。
すると私の隣にピタリとくっついてきて、試しに辺りをぐるりと歩き回るとチョコも同じスピードでついてくる。

感心しながらその様子を見ていたメネが私たちに一言。


「オイラとひともうけしない?」


待っていましたと言わんばかりに即答する。
迷う必要はない。
だって私はそのためにここにきたのだから。






「いいわ。その話乗りましょう」







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