よんでいる





■ツカサside











だ………れか、が………よ、んで………る………





誰か、が………わた、し………の………な、まえ………





………誰か?


誰か、って………だれ?






わか、んない………よ。

ねえ、私の名前を何度も呼ぶ君は………だれ?















目を開けると目を瞑るより真っ黒な空間。
立っているのか、浮いているのかさえわからない。けれど体は鎖で繋がれているのかと思うくらい動かなかった。


遠くに“何か”が見える。
目を凝らして見れば、その“何か”はモヤがかかったかのようにぼんやりしていた。

私はあれを知っている。







『眠ったままでよいのか、 ツカサ』






私を………呼ぶのは、あなた?






『我が名はアレクサンダー。アレクサンドリアに眠る召喚獣なり』



ア、レク………サン、ダー
なん、だか………懐かしい、気がする………



『今のお前の力でも、目覚めることくらいできる。
ラムウが居場所を知らせている故、もうすぐあの者も迎えにくるだろう』



あの、者?
私の………ちか、ら………?
クジャも、あなたも………ちから、ってなんのことなの。



『異界の娘、ツカサよ。運命をねじ曲げぬことだ』



ねじ、曲げる?
最初から………物語は大きく反れてなんて、いない。
変わったとしても、正しい道筋になるようにするもの………



『お前を呼ぶあの者は、違うかもしれぬぞ』



私を、呼ぶ………あの声は………



『お前の祈りなら、召喚士たちと違って我が元にも届く。
我ら召喚獣はお前の声に応えよう』



召喚士じゃないよ、私は。







「………目を覚ませ、ツカサ!!」






この、声は………

この声は。




『さあ、お前を呼んでいる。戻る方法は知っているだろう』



待、って、待って!!
まだ、何も訊けて、な………い!



















ねえ、誰なの。













私は………誰なの。















back/save