明日にはない今日という日 03
「世界中を回ってみたけど、なかなかコレ!って物がないね」
「クエェェ………」
リンドブルムを出発して、アレクサンドリアやトレノ、マダイン・サリ………エスト・ガザにも行った。
チョコグラフもいくつか見付かったけれど、自分の探し物は見付からない。
世界各国、特産品や郷土料理などたくさんあるが、全員が喜びそうな物が見付からない。だからと言って各々に用意したとしても、チョコの背に乗せるには無理があった。
「ラリホ!」
「ラリホ!………ん?」
条件反射でラリホ!と挨拶してしまったが、声が聞こえた方を向くとドワーフの夫婦であろう2人がこちらに向かって手を振っている。
「おめぇ、確か夫婦になったやつだド?」
「それはもう1人の娘だド?」
「夫婦………?
あー!あのっ、えっと、似たようなもんだと思うわ!そう、そんなもんよ!!」
「ドワーフ以外は見分けがつかないんだド」
思ったより深く考えていないようで、上手くダガーと勘違いしてくれているらしい。
変に勘繰られる前に慌てて話題を変えた。
「今仲間へのプレゼントを探しているんだけど、ドワーフたちは大切な人に普段何をプレゼントするの?」
夫婦はうーんとお互いに見合って考え込んだ。
するとパッと同時にこちらを向いて、
「花だド」
「花なら嫌いな奴はいないだド!」
と同時に同じ言葉を言った。
今まで悩みに悩んだせいか、すごくしっくりくる気がする。
「花、か………そうね、花にしようか!
桃源郷みたいな美しい風景になるはず。ね、チョコもそう思うでしょ?」
笑ってチョコに問い掛けると、クェェエ!と翼を大きく振ってくれる。
桃源郷という単語に反応したのかもしれない。
「そうと決まったらメネのところへ戻ろうか。あの森なら準備がしやすいよね!」
「花ならクロマ族にも頼んでおくド」
「後で持っていってやるド」
優しいみんなに助けられながら準備を進めていこうとしたけど、ただ花畑を見せるだけ………なんてことはしない。
私自身も準備をしようと思う。
(一夜限りの晴れ舞台ってことで)
ベタでもいい。在り来たりでもいい。
それでも伝えたい想いがあるなら全力で伝えたい。
「さ、行くよ。チョコ!
世界各国をもう1度巡りましょ!」
「クエッ!!」
まだまだつづく!