「昔、"土用の丑の日"って土曜日に牛を食う日なんだって思ってたんだ」

「誰しも通る道だ」

「通らねえよ」


スーパーやら弁当屋やら、最近ではコンビニにもある"鰻"の文字。うまいよなぁから始まった会話はこうして自分の馬鹿を曝すものになっていく。(主に藤堂と永倉が)



「鰻うまいよなぁ〜」

「鰻重と鰻丼て違いあんのか?」

「容器の問題だろ」

「ぱっつぁんはどっちが好き?」

「食えればよし!」

「あーそうだろうな。左之さんは?重だろ?」

「食えればよし」

「…あっそ」

「そういう平助は?」

「食えればよし!」


この男達は食えてうまくて腹を満たしてくれるものならなんでもいいのだ。
そんな食い気にたかられている男達の傍を歩くのは、姓を雪村、名は千鶴という女の子。
原田永倉藤堂の三人が揃うと必ずといっていい程食か遊びかくだらない話になるのだが、雪村が居るとそれに少しばかり華がそえられる。


「千鶴は鰻は何派?」

「えっと…いつもうちで食べるのは丼で、かな」

「つーことはなんやかんやでみんな鰻丼だな」

「オイ平助ぇ!んな話ばっかしてっから腹減ってきたじゃねえか!」

「知るかよ!新八っつぁんだってノリノリで食いついてきたじゃん!」

「食うとか言うな!」

「もううるせえよ!」

「お前らがうるさい」


この二人を静めるのは大概原田だ。が、原田がキレると今度はこの二人がそれを宥めさせなければならなくなる。それはもう、必死に懸命に命懸けで。
だから藤堂と永倉はやばいと思ったら自主規制をかけることを覚えた。
そんな内情を知るよしもない雪村は、明日のご飯は鰻かぁ。と心なしかウキウキしているように見える。


「平助くん明日うちで食べるよね?」

「おーいいのか?」

「おばさん帰るの遅いって言ってたでしょ」

「あーそうだったかも」

「なんだなんだ〜羨ましいことしてんなよ青春ボーイが」

「はぁあ!?なにニヤニヤしてんだよきもちわりぃ」

「年上に向かって気持ち悪いたぁなんだ!なぁ左之!」

「いいや、確かにきもい」

「どこがだよ!」

「テンションがおっさんみてぇ」

「………もうおっさんなのかな、俺」

「どんまい、ぱっつぁん。ぷぷっ」

「明日牛食って元気だせよな」

「いや鰻だって」


そう、こいつらは食えればなんでもいいのだ。

はたはたと、幟に描かれている鰻のイラストが泳いでいた。







2010/0725

ゆずさんへ
企画参加ありがとうございました!
明日が土用の丑の日だということでのネタ。
自分は鰻丼のタレかけご飯が食べれたら幸せです。

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