「千鶴先輩!」

朝、学校へ向かう途中、見慣れた漆黒のポニーテール
僕は嬉しくて背後から千鶴先輩に抱きつくするとビックリしたのか小さな悲鳴が千鶴先輩から零れるそして困った笑みを浮かべて…

「沖田くん」

「千鶴先輩を見ると抱き締めたくてさ〜」

ニヤニヤしながらギュッと抱き締める手に力が入る
だって千鶴先輩が好きなんだ

「あまり抱き締められたくないかな?遅刻しちゃうし…」

「平気だって、土方さんはいませんから」

千鶴先輩をこれでもかーと抱き締めるだけど不意に襟元を捕まれて…

「ちょっとなにする―――」

「てめぇこそなに千鶴に抱きついてやがる、迷惑してるじゃねえか」

僕を捕まえたのはもちろん土方さん
しかも僕の幼馴染みでいつも煩い…

「ありがとうございます、土方くん」

「いつも悪いな、総司が抱きついてよ」

それってなに…
土方さん、僕の保護者にでもなったつもり?
千鶴先輩のクラスメートでかなり羨ましいんですけど…
僕があと一年早く生まれたら良かったのにな

「千鶴先輩は照れてるだけですよね?」

「違うだろ、明らかに困ってるだろ、離しやがれ」

僕には分かるんだよね…
千鶴先輩は肩の力を抜いていて、あまり強く抵抗なんてしてない
それって気を許してるからだよね?
しかも、僕が抱きつくたびだからね
もしかしたら、千鶴先輩は…?

「千鶴先輩は僕に抱きつかれるの好き?」

「え?」

「どうして僕が抱きつくたび、嫌だったら抵抗するのにしないのはどうして?」

それって僕が期待通りの思いだからかな?
なんて思いたくなるのは気のせいかな?

「………それは……」

「そんなの簡単じゃねぇか、おまえに遠慮して強く言えねぇんだよ」

なっと千鶴先輩の頭を優しく撫でる土方さんなんだか無性に勘に障るんだけど気のせいかな

「そんなことありません、せめて、人前で抱きつかれるのは困るだけで……」

「それって僕が好きってこと?」

千鶴先輩の耳元で優しく囁くように問いかければほんの少し頬が染まっているなんだか嬉しくてたまらない

「僕だって好きな人じゃなきゃ抱きついたりしません」

「それって……」

まぁ、千鶴先輩にはそう見えなかったみたいだけどさ
他の子なんか抱き締めるわけないでしょ

「先輩が伝えてくれたら教えてあげる」

「それは総司くんが先だと思う、だって男の子だもの」

ニコリと微笑む千鶴先輩
くそー、ホントにかわいくてたまらないなー

「それって総司が好きなのか?」

土方さんは焦るように皺を寄せながら千鶴先輩に聞く
その土方さんの瞳には嘘だよなと言いたそうな眼差しだった

「えーと、はい」

「聞きました?土方さん、さっさと千鶴先輩を諦めて下さいね?」

千鶴先輩は人気があるからなぁ…例えば平助とか、一君、左之さん、もちろん土方さんも…

「相手が総司だと諦めるわけにはいかねぇなぁ…」

それ、僕だと千鶴先輩が幸せにならないって言いたいんですか…
僕の幸せを見守ってくれないんですね、土方さん

「今からでも遅くねぇ、総司なんかやめとけ」

「心配してくれてありがとうございます、でも、私は総司くんが好きなんです」

また土方さんの好感度を上げてどうしたいのさ
まぁ、本当に無自覚で周りを魅了すところが好きでもあり、困りの種だ

「そうゆう僕も千鶴先輩が好きだよ」

やばいぐらい好きなんだよね
先輩なのになんだかほっとけないと言うか苛めたくなるって言うのかなぁ…けど、好きになった子は一途だからさ

「というわけで遅刻しちゃうから、走ろうか?」

「うん」

千鶴先輩の手を引いて昇降口まで走り出す
後ろから土方さんの声がしたけど気にしない
しっかりと繋いだ僕と千鶴先輩の手これからもどんなことがあっても離したくないなと柄にもなくそう思っていた





莉久さんからいただきました
後輩沖田、やばいやわいい
まっ、土方さん、どんまい(笑)





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