「あれ?新八っつぁん、その着物もしかして新しい?」
「おう、やっぱ分かっちまうか!この輝き!」
「いつも着てるやつボロいもんなー……」
「おい、平助え」
「わああ、ごめんごめん怒んないでってば!ところでさ、あの芸者さんとはどんな感じなの?」
「……平助、聞いてくれるか……?」
「お、おう」
「左之がよお、『俺と新八どっちが好みなんだ?』って聞いたら、あの子……っ、あの子……!」
「ああ、分かった分かった。左之さんって答えたんだろ?そりゃ仕方ないよ新八っつぁん。左之さんには適わないって」
「分かってるけどよお!何だよみんなで左之左之左之って言いやがって!」
(うわ、これ面倒臭いパターンじゃん……、逃げよ)
「平助、待て」
「ちょ、新八っつぁん……?離してくんないかなあ?」
「平助、お前今日夜は巡察じゃねえよな?」
「ま、まあな。でも……」
「呑むぞ平助えええ!」
「えー、だってそれ潰れた新八っつぁんを介抱しろってことだろ!?」
「当たりめえだろうが!」
「絶対嫌だかんな!つーか、せっかく新しい着物買ったのに、潰れて吐いちまったらおじゃんじゃんか!」
「うるせえ、こんな着物どうなったって構わねえんだよおおお!あの子に見せるために買ったこの着物なんてなあ!」
「そうだったんだ……、じゃなくて!」
「いや、こうなりゃ今から行くぞ平助!」
「えっ、ちょ、新八っつぁん引っ張るなって!」
「安心しろ、酒代は俺が持ってやる!」
「そういう問題じゃ……」
「うおおお、行くぞ平助えええ!」
「何処へ行くって?」
「いや、だから吉原……って、ひっ、土方さん!?」
「新八い、平助え、てめえら良い度胸じゃねえか……!」
「え、ちょっ、土方さん!オレは無罪なんだけど!」
「うるせえ、てめえら纏めて稽古つけてやる!」
「そうですよね、失恋の痛手を癒すにはそれが一番ですよね……土方さん、お願いします!ほら、平助も稽古行くぞ!」
「ちょ、まじ待ってって。オレ絶対関係ないって!?」
「平助、往生際悪ぃぞ」
「新八っつぁん……よく言うよ。分かった、稽古すりゃあ良いんだろ!ああ、やってやるよ!」
「その調子だ平助!」
まだまだ青い春
澪姉さんから頂きました。
あの時代でもこういうやりとりってあったのかな、と考えながら読むとほのぼのした気持ちになれました。
素敵な小説ありがとうございました!