はじめて見たときは頭が
腰よりも少しだけ高い位
置にあった。そのくらい
総司は小柄な餓鬼だった
。同じ年頃の奴より白く
てひょろく、もやしみた
い。そんな最悪な印象を
抱いていたことは、勿論
秘密だ。あああああああ
しかし近藤さんが凄い腕
だと自慢げに何度も云う
ものだから遠目に覗いて
みた。そこには俺が諦め
ていたことをどんどん成
し遂げていく総司の姿が
あった。あの幅のない背
が裂けるくらい睨んでし
まったこともあった。

畳の目を爪でなぞりなが
ら俺の部屋で転がるのは
身長ばかりがひょろりと
伸びやがった総司。今と
なっては見下ろされる高
さとなり、時は流れたの
だと実感するが中身の方
はまだまだ餓鬼だ。ああ
そんな餓鬼にだが聞いて
みてえこともある。こん
な日には余裕が無くとも
そんな気が起こるものだ
ああああああああああ

「お前俺のことをどう思
っていたんだ?」あああ
「奇妙なことを聞くんで
すね。熱でもあるんじゃ
ないですか」あああああ
「熱があるのはテメェだ
ろうが」あああああああ

畳の目を数えるのにも飽
きてきたのか大の字にな
って四肢を投げ出した。
過保護なんですよ、昔か
ら。ぶつくさ文句を垂れ
ながら、あああああああ

「女好き」ああああああ

と短く答えた。そんなも
のしかねえのかよ、とは
云うものの否定できない
事実なのだから無視する
ことにした。あああああ
自分から聞いておいて、
と思ったが耳が痛い話は
こうするに限ると長年培
ってきた経験で実証済み
だ。あああああああああ

「もう女遊びは止めたら
どうですか」あああああ
「考えとく」あああああ
「考える気無いでしょう
?」あああああああああ
「知らねえな」ああああ
「なんですかそれ」ああ

互いに茶化すような会話
ばかり。それでもこいつ
は数少ない信頼できる人
間だ。新選組にとっても
大きすぎる存在。あああ
気になるような咳をする
総司を見るようになって
いつからか不安が募るよ
うになってきた。じわじ
わと毒が全身にまわって
きて、呼吸がうまくでき
なくなって、死ぬ。そん
な最悪な死に方はしたく
ねえ。ああああああああ
それよりも最悪なことに
なるものを俺たちは知っ
ているはずだ。ああああ

「………俺より先に死ぬ
なよ」ああああああああ

切実な願いのつもりだっ
た。総司は苦笑いをした
だけで俺の眼を見ようと
はしなかった。ああああ



20100330あああああああ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -