先頭は平助、それに続くように千鶴、一番後ろは俺。
幼い頃からのお約束パターン化した並びは、定着してしまった。いまでも三人揃えば自然とこの形になる。
先頭はどかやかしこにひっぱって行き、真ん中は前後が喧嘩をすれば仲裁に入り、最後尾はなにかあれば背中を押す。
居心地がいい、という表現ならしっくりするだろうか。


「おーい、どうしたー?」


コンビニのおにぎりとか似合わねぇ〜!げらげら笑いながら賑やかに参上した平助。両頬いっぱいに食糧を詰め込んでいる姿はぶさいくなリスとかハムスター。…それじゃあリスとハムスターに失礼か。


「あーうるさい」
「うるさい言うな!…ってそんだけしか食わねえの?」
「要るか?」
「もち!」


お前はがつがつ食い過ぎなんだよ。成長期成長期〜と大口開けてまた頬張る。なにが成長期だどこが成長してるっていうのか30文字以内で簡潔に述べてもらいたい。
まぁ、おにぎり一個というのも男子高校生の昼飯としてはどうかと思うけどさ。


「体調わりぃだろ」
「……全然」
「強がんなって」


熱は…、と手の甲を頬に宛がう。さすがに額を合わせるのはしないだろうとは思ったが、これも……まぁ、気にしないけど。


「ちょっと熱い」
「ふぅん」
「だるくねえ?」
「……だるい」


意識してきたらだるくなってきたかもしれない。
保健室行くかーとかいろいろ聞いてくるあたり、案外面倒見いいんだよな。それを言ったら調子に乗るから絶対言わないけど。


「薫、」
「お、千鶴じゃん」
「平助くん、薫どうしたの?」
「あー体調悪いらしくて」
「え!」


躊躇無く額を合わせてきた。なんだよお前ら、自然にやりすぎだろ。こう思う自分が可笑しいのか?いやいや可笑しくないよな普通だよな。
ぼんやりする頭を必死に活動させていると、手を引っ張られて椅子が派手な音をしてうしろに引いた。


「保健室いくぞ!」
「はぁ?」
「ほら、はやく」


両側に陣取ったふたり俺の左右の手を片方ずつ引っ張りながら賑やかに歩く。
仲良しトリオどこいくんだ〜と教室を出る寸前で聞こえ、「秘密!」と大声で返したのは平助。なにが秘密だよ保健室にいくだけだろ。
並びが縦から横になっただけなのに、見える風景はだいぶ違って見えた。






(ノートはオレにどーんと任せとけ!)
(一番任せたくないんだけど)




20100916

平助と薫が同じクラスで千鶴は違うクラス設定







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -