「はよーっす。もう出るのか」

挨拶をした先にはお向かいさん兼幼なじみ的関係の双子の兄貴、薫。声をかけるとゆっくりと向けられた視線。おはよう。そんだけ。素っ気ない奴だとは思う。けど、悪い奴じゃないことは、二桁になった長さの付き合いでわかっていた。
朝っぱらから走ってきたオレは全身汗だく。対して薫はキッチリ着こなしている制服にも関わらず涼しげ。

「今日も風紀委員の仕事?」
「ああ」
「ごくろーさんです」
「遅刻するなよ」
「今日はダイジョーブ!」

親指をグッと立ててみせれば、呆れたように溜め息を吐き出した。そりゃあもう、盛大に。逆に清々しいです、薫サン…。
じゃあ。とさっさと歩いて行った背中を見送ってオレは急いでシャワーを浴びる為に風呂場へ。途中で脱ぎ捨てていった衣類たちを見つけたおふくろから雷が落ちるのは、たぶんあと数分後。
でも、今日は見逃してほしい。だってさ、あんな宣告されたのに遅刻なんてしたら………。
がしがし拭いて乾かしたつもりだったのに、ぼたりという効果音がつきそうなくらいの水滴が垂直に落ちていった。床で跳ねたそれが足に散る。

「サッパリした気がしねぇ…」




20100913

平助くんと双子の日常をだらだら書いていく中編ものです
少しの間お付き合いしてくだされば幸いです




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