(ヒカリ+コトミ←ジュリ/わくアニ)
※微GLに注意。筆者にとっては友情のつもり。
「コトミちゃん、私と、友達になってくれるよね?」
薄暗い回廊の先に、
絵のように綺麗な笑顔の女の子が立っていた。
広げた掌から、紫の薔薇の花びらが、
ひらりひらりと、千切れて落ちて。
女の子の立つ向こう側には、
倒れた男の人。
赤い瞳が、こちらを捉えて、
口紅で彩られた唇だけが動く。
『コトミ、早く、逃げて』
石のように動きが止まった男の人、
そう、ジュリちゃんの顔を見て、
女の子はふふふ、と嫋やかに笑む。
「ジュリさんの薔薇、
綺麗な紫色でしょう。私の赤い薔薇と、
コトミちゃんの青い薔薇が混ざったみたい」
白い手袋が持つ一輪の赤い薔薇は、
初めて見た時より彩度が低く見えた。
自分の両手の内にある青い薔薇が萎れていく様を見て、
ただただジュリちゃん、ジュリちゃん、
と縋ることしか出来ない自分が
何も成長することなくここに在るのを、
知る他無い。
「どうして……どうして、こんなことするんですか」
「それはね、コトミちゃんとずっと
一緒にいたいから、かな」
「何で……」
「ジュリさんがいたら、ジュリさんが貴女を手に入れることぐらい、わかるの。
友達でいいけれど、
貴女に私より大切な人なんて」
いなくなってしまうといいよね、
と、残酷で耽美な言葉を、
私のためだけに言っている。
この世界は、どこから始まったの。
日常は、どこに行ったの。
お願い、目が覚めて。
ジュリちゃんを、殺さないで。
「……ヒカリちゃん」
迫りよる少女の顔は、
いつしか陳腐な人形のように、
顔が縫い目だらけになっている。
「私、ヒカリちゃんが好きです」
これは夢だから、
夢みたいなことを口にしてもいいの。
全ての勇気を使いきって。
光が弾けて、何も見えなくなった。
ある日、私はヒカリちゃんと美術館に行った。
ジュリさんという彫金家の個展を開いているようだ。
並べられた様々な展示品を眺めていると、
絵も一枚だけあった。
紫の髪の、綺麗な女の人。
ああ、それがジュリさんの肖像だよ、
とヒカリちゃんが教えてくれた。
見たことのあるような懐かしい顔が、瞳が、
今にも泣き出しそうな表情をしていた。
kotomIb
(そこにいるなら、肖像画だっていい)