彼らの婚約を噂に聞いたのは、それから数ヶ月後のことだ。

いつかどこかで誰かも、同じことを考えているのかもしれない。

考えることを放棄した。

昨日の僕はどうかしていたとしか思えない。

深く、肺の奥まで取り入れた酸素を確かめるように、胸へと手を置いた。

薄れ行く意識の中、確かに存在したのは後悔という感情だった。

「私じゃない!」

あなたが笑顔でいる限りは大丈夫だと、心の中で呟いた。

こぼれ落ちる涙を止める術を知らない。

もう、何を信じればいいのか分からなかった。



130615

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