私の神様になった
あなたへ



仕方がないですね、あなたに夢を託されてしまっては、受け取らないわけにはいかないではないですか。
でも、そんな夢はもうとっくの昔から私の中にありました。
だから大丈夫です。あなたに言われなくても、それは必ず叶えてみせます。
ただその夢が叶うときに、あなたが傍にいないことは少し寂しいですね。
あなたの「おめでとう」の言葉が聞けないと、ずっと私は夢を追いかけ続けてしまうでしょう。
だから、あなたがいない方が、私にとってはよかったのかもしれませんね。
それもあるべき姿なのでしょうか。

あなたの手紙は、予想していなかったわけではありませんでした。
願わくば、そんなものは用意しないでいて欲しいと思いましたが。
あなたもお察しの通り、私からの返信があなたに届かないからです。
けれども、あなたの手紙を嬉しく思わなかったわけではありません。
あなたの言葉ほど、私を幸福にするものはないのですから。
そして、私を幸福にしてくれた記憶があるかぎり、あなたを忘れることもありませんよ。
謝らないでください、あなたの我が儘なんて、もう随分と聞き慣れました。
最期まであなたらしくて、私にとってはこれぐらいがいいです。

そして、あなたが書きたかったことの全ては、きっと既に私に伝わっているはずです。
例え今、私の中にすぐに浮かばなくても、それはあなたと過ごした時間を通して、自ずと私の中に流れてこんでいるものですから。

私の方こそ、大切にしてくれてありがとう。一緒に恋をしてくれて、本当にありがとう。
メイ、あなたと恋ができたのは、私にとって奇跡のような事柄でした。
私にとって恋愛なんてものは、自分の人生設計に組み込まれていなかったのです。
だから結婚も、私にとって不必要なものです。
あなたがいたら結婚したと思いますが、今後の私は結婚はしないでしょう。
それは、決してあなたを忘れられないからということではありません。勘違いをしないでくださいね。
私にとって、結婚よりも大切なことが、たくさんあるのです。
そして、あなたが返せなかった分の幸せは、また今度きちんといただきます。
次に会ったときを、楽しみにしていますよ。忘れないでくださいね。

それでは、あなたの言うとおり、しばしのお別れです。
ずっと変わらずに、愛しています。
あなたにとっての私の長い不在の間も、どうか幸せにお過ごし下さい。
また、遠い未来に会いましょう、お元気で。


P.S.
あなたからの手紙は、お返しします。
もちろん、私の手紙を添えて。
あなたに届くようにちゃんと煙にして送りますので、ご安心を。
返信はいりませんよ、送料が高くついてしまいそうですからね。






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