「これしかわかっていないのか」とはまぁ、耳に痛い言葉だ。
寄宿舎、学園棟の1、2階を説明し終えた時に十神クンがそう告げた。
「だからこれからまた調べようと思うんだけど、十神クンもどう?」
「さっき見たとおり、脱出できそうな所は無かった。新しい階が開くのを待つ方がいい。」
と、振り向く。何処へ向かっているのかはなんとなく想像がついてしまった。
「僕も図書室に行こうかな」
「…好きにしろ」


それからというもの、十神少年に懐かれたようです。あれから2日が経過したが一向に元の姿に戻らんとする気配はなかった。
僕の知っていた十神クンよりもほんの少しだけ毒気の少なく、ほんの少しだけ素直な気のする十神クンは割と可愛いと感じるのだが、俺様ぶりには如何せん困らされる。
「おい苗木、ここに座れ」
「苗木、勝手に離れるなと言っただろう」
「お前には名前で呼ぶことを許可してやろう。光栄に思え!」
「これをお前にやろう。これでお前は俺の物だ。」
段々とエスカレートしていく要求、放任主義のクラスメイト達。ついには嬉々として首輪をプレゼントされてしまった。
もはや貞操の危機を感じる。はやく元に戻らないかなぁ、
甘きに、太る