ーーオマエラ、おはようございます。朝7時になりました。

そんなふざけた放送で起きるのは、もう7度目となる。こんな監禁状態にあるのだから、日数に敏感になるのも仕方のない事だ。しかしその度にこれがいつまで続くのかと憂鬱な気分になる。
はやく手掛かりを探さねば。昨日から、2階が探査できるようになった。昨日見られなかった所を調べあげれば、きっと脱出の手掛かりがみつかるはず。
そう気合いを入れて、皆が待つであろう食堂へと向かった。

「あ、苗木だー!」
食堂で待ち受けていた面々に、おはよう、と返していく。
大方のメンバーは揃っている。あとはいつも通り時間にルーズな葉隠クンと、あとは…と見渡して、ハタと気づく。十神クンが居ない。

それに気づいた頃、ようやく葉隠クンが食堂へ姿を表した。
「遅いじゃないか!いいか、葉隠くん!集合時間というのはだな、常に5分前に行動でも遅いくらいで…」
「あ〜悪かったべ。でもほら、俺が最後じゃないし?まだ来てねぇ奴がいるべ!」
「あ、そうだね。そういえば十神がまだ来てないよ!」
「なんだと!?連絡も無しに遅刻とはけしからん。しかしこれ以上彼に割く時間などないぞ!」
まだ集合時間から15分程しか経過していないのに、石丸クンはもう待てないと言いたげだ。確かにはやく探索をしたい、とは思うが。皆が揃わない事こそ駄目じゃないか。
「ちょっと待ってよ!もしかしたら何か来れない理由があるよかもしれないし、部屋まで行ってみようよ!」
「では苗木くん、君は十神くんが死んでいるとでも言うのか!」
「な、何もそこまでは言ってないけど…」
「つぅかよ、あいつは最初から集まりなんて気にしてなかったじゃねぇか。」
「そうですわね。それよりもはやく朝食を頂きたい所ですわ、全く…」
提案してはみたものの、皆はやく食べたいという気持ちは同じようだ。石丸クンの大きな号令とともに、食事をとり始めてしまった。ならば、1人でも行こう。僕の心配が杞憂で終わるなら、それでいいじゃないか。
「苗木、やっぱ見に行くの?」
「うん。気になるしね。」
「じゃあ、私も着いてくよ!いい?」
「もちろんだよ!ありがとう」
朝日奈さんも僕の考えに賛同していたらしく、それじゃあ行こうか、と、石丸クンにその旨を伝え食事の扉を開けた、時。
「え…」
外側から同じドアノブに手をかけていた人物とぶつかりそうになった。金髪に、眼鏡。高級そうなスーツ。それだけで彼が誰だかわかる、のに、わからない。
「うそ、十神なの…?」
隣で朝日奈さんが喫驚の声をあげる。それもそのはず、いつもは痛いくらい見上げてようやく見えるその顔が、僕達の目線の高さにあるのだから。

朝日奈さんの声に気づき、近づいてきた何人かも同様の反応を見せた。ああ、よかった。僕の目がおかしいわけじゃない。

彼は、どうやら十神白夜であるようだ。