夕方になり、ようやく自分のコテージへ戻ってきた。予定よりかなり遅れたが、そもそも予定は既に崩れた後だ。

「実際に見ると、結構いい部屋だね。あ、本当にバカンスだったらだけど。」
疑うことを知らないのか、苗木誠はのこのこと僕の部屋に着いてきた。帰り道、誰とも会わなかったのは僕の幸運のおかげだ。苗木くんにしては不幸だったわけだけど。

ガチャリと鍵を締め、彼にベッドに腰掛けるよう促す。

「やっぱり、監視カメラ越しで見てたんだね」
「見てたというより…見せられていた、の方が正しいかな。」

突然の追及に驚くわけでもなく、慌てるでもなく、また、眉を下げて笑う。

「本当はこんな事になるはずじゃなかったんだ。…アイツに邪魔された」
「それって…超高校級の絶望の事かな」
「そう。でも心配しないでね。希望がある限り、僕たちは負けない」

他の超高校級の生徒達は彼の事を疑いつつも、出たさ故に信じてしまうだろう。でもそんなの希望じゃない。絶望を乗り越えてこその希望じゃないか。

「本当に、助けられるのかな」

え、と苗木くんが言うと同時に、ベッドに座る彼を押し倒した。
目を瞬かせている間に唇を奪うのは簡単だった。ただ、そうする必要はなかった。別にベッドに縛りつけて監禁していればいいだけのこと。
「ん、ぅンんっ、」
僕の下で苦しそうな声をあげるその目元は濡れていた。

もっと。

もっと絶望させるためにはどうすればいいかな?
そうすれば、きっと今以上に希望に満ちた顔で希望を語るのだろう。…僕たちみたいな絶望のために。

「外になんか出させない。他の人にも絶対、会わせないよ。君は僕だけの希望なんだから」

ああほら、顔を歪めるて。
ハッピーエンドにあこがれて、
バッドエンドの夢を見る。




たいとるby確かに恋だった 様