ブルーイッシュ

今、倉庫も厨房も女子達に占領されてしまっている。
閉鎖的な空間で食糧の占領、なんて事がないだけ良いのか。3度のご飯は彼女たちが作り支給される。これだけ聞けば料理のできない僕らにとっては救いとも取れる行為なのだが、肝心の料理がこれじゃあ食べれない。一体どうしてこうなった。…やっぱり僕が原因だよな、とつい数日前を思い出していた。





とある昼過ぎ、水を飲もうと立ち寄った食堂で朝日奈さんがラーメンを食べていた。

「あれ、まだお昼食べてなかったの?」
「え?これ3時のおやつだよ!」
「ラーメンはメインディッシュでしょ!?」
「なに言ってんの?よくておかずだよ!」

食べ物の話になると怖い朝日奈さん相手には何を言っても無駄だ、と思っていた。

「朝日奈さん、あなたの持論は結構ですが…」

ミルクティーを飲み終えたらしいセレスが喋り出すまでは。

「太りますわよ。」

ピタリ。
朝日奈さんのラーメンを啜る箸が止まった。
当のセレスさんはいつも通りのポーカーフェースで「それでは、」と優雅な足どりで出ていってしまった。

「…苗木」
「な、なに?」
「大丈夫だよね?私、大丈夫だよね?」
「朝日奈さんは運動してるし…大丈夫なんじゃないかな?」
「だよね、だよねっ!」

とは言うものの、依然として箸は止まったままだ。まぁ女子なら気にするよね。
そんな朝日奈さんの不安感を煽るような声が聞こえてきた。

「本当にそう言い切れるでしょうか。」

声の主は舞園さんだった。思い詰めた青い顔をして近づいてくる様は当人である朝日奈さんでなくとも不安になってくる。

「1度ついてしまった脂肪はなかなか落とせませんよ」
「ひいいぃい!やめて!」
「そのラーメン、何カロリーあるか知ってます?540カロリーですよ。日本人女性の一日の摂取カロリーは約1800カロリーなんです。ですから…」
「ま、舞園ちゃんお願いやめてぇ!」
「あ…」

怖い。正直ものすごく怖い。でも"超高校級のアイドル"は大変な苦労をしたんだろうな。体重制限も然り、嫌な思い出でもあるのだろうか。

「…」
「…」

ああ、沈黙が重い。朝日奈さんが食べてたラーメンはきっと伸びきっているだろう。…僕に出来る事なんて、と考え思い出す。

「そうだ、前にテレビでやってたんだけど…着色料で料理を青くするといいらいしよ」
「青く!?そんなの食べらんないじゃん!」
「食欲を無くす色…ですね」
「うん。だから自然とあまり食べなくなるみたいだよ」
「へぇ〜!」

うん、やってみるね!と笑顔になった彼女達を見れたのはよかった。しかしモデルだから体型をキープしたいらしい江ノ島さんにセレスさんも加わり、彼女達は「周りが普通の食べてたら、そっち食べたくなるじゃん!」と言って青い飯を強要してきたのだ。

「苗木〜!みてみて!私痩せたと思わない!?」
「えーあ、うん…」
「って、苗木の方が痩せてない!?」
「そうかな…?」
「よ〜し、もっと頑張らなきゃ!」
「もう十分だと思うよ」
「まだまだ〜!!」
「え〜まだやるの?」
「もちろん!!」



ブルーイッシュ

「おい、はやく止めさせろ」
「そそそ、そうよ。白夜様の尿素が青くなったら、どどどうするのよ…ッ!」
「はぁー、正直限界だべ」
「というか…苗木誠殿こそ顔色がすぐれませんが」
「青いご飯…新感覚…」





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