逸脱 ※R指定ぽいモブ苗注意 小説に出てきた言葉がでてきます |
彼は、他の"超高校級"の人たちとは違う、"トクベツ"でした。ただただ平凡で、運だけでこの非凡な学園へと飛び込んできた彼は、溶け込めるはずない世界へすんなり溶け込みました。 それは私たち、優しい優しいクラスメイトのおかげだろうと思って、私が影でイロイロ駆使して虐めたとしても、てんで絶望してはくれませんでした。生意気だと思います。 だから今度はとても悪趣味な悪戯へ切り替えようと思っています。っていうかもう切り替えてたり!うぷぷぷぷ。悪趣味すぎて絶望しそうです。嘘ですこのくらいでは絶望できません。 でも彼は違う。絶望して絶望して絶望しちゃうはずです。さっそく苗木君の様子を見てきましょうかね。うぷぷぷぷ。 ガタンッ、 机とぶつかった事に驚き、後ろを振り返ってしまった。その瞬間、とうとう僕の腕は拘束され、呆気なく捕まってしまった。 ――まずい、これは非常にまずい。 目の前にいる男は鼻息を荒くし、僕との僅かな距離を詰めてくる。 「(助けて、誰か―)」そう叫びたいのに、男にすら聞こえているか微妙な、あまりにも小さな声しか発する事はできなかった。 「大丈夫、痛くないからね」 男はまるで注射を嫌がる子供に言い聞かせる様に――と、これは冗談じゃない。有り得ない! 自分の中に浮かび始めたその不安をどうにか掻き消す。 男――確か物理教師だったはずだ。――は、ねっとりとした気持ち悪い息を吐きつけながら僕の手首を掴んでいた手を離し、僕を抱きしめた。 その手の平は体中をまんべんなく這いまわり、そしてお尻をぐるぐる撫で始めた。 「ひっ、」 なんでこんな情けない声しか出ないのだろう。やめろ、と強く叫ぶ事も振りほどく事もできないなんて! 鍛えておけばよかった。――その後悔にも似た思考は、すぐに現実へと引き戻された。 「んぅッ!?」 あろうことか、男は荒々しく僕の唇を塞いだ。間近で見た彼はやはり物理教師の――しかし彼の授業は受けていない。知り合いですらない男に、どうしてこんな事されなくちゃならないんだよ!! それに、それに…… 「苗木君のファーストキス、奪っちゃった」 不愉快でしかないキスが終わったというのに息がかかるほどの位置で、男はそう言った。 まるで僕の思ってる事など全てお見通しだ、とでも言うように。 「なんで…」 「…ん?なに?」 「なんでこんな事、するんだよ!」 捕まれた肩が痛い。変わらず接近している男の目を見て――ゾッとした。まるで何も写してなどいない、ただ付けられた義眼の様な瞳は、僕を捕らえて離さない。 男は口元だけをぐあんと歪ませて言う。 「苗木君の事がね、好きなんだよ!好きで好きで堪らないんだ!」 「…は?」 「だから、君が好きなんだって!」 全く以って理解できない。わからない。わからないわからないわからないわからない! 「苗木君…」 「や、やめっ」 素早く押し倒され、再度唇を塞がれる。 くちゅくちゅとした水音が煩い。体が熱くて煩わしい。感じてしまっているみたいで――恥ずかしい。 「あはは、勃ったね。すぐいつものしてあげるから…」 いつもの、と言いながら男は僕のスラックスを下着ごと脱がし――僕のを口に含んだ。 「ひぁ、あ、やだっ!やめてッ」 水音は酷くなる一方だ。 「ぅあ、あっ、あああぁっ!」 射精、してしまった。こんな男なんかに。 男はごくごくと喉を鳴らし、見せつけるように僕が出したものを飲み込んだ。 「さぁ、ボクの部屋に行こう。これからはずっと一緒に居られるよ」 男が僕の体を抱き抱える。連れていかれてしまったら、もう誰も見つけてはくれない。そう思って、足をばたつかせ音を立てる。 ……でも不思議だ。遠くではいつもの≪騒音≫が聞こえるが、校内からの音が聞こえない。僕たち以外の人の気配が、しない。 「(どうしよう、どうしよう、どうしようどうしようどうしようどうしよう!)」 体が震え出した。その震えが視界にまで広がり、渦巻きを作りながら歪曲されていき、ついにはぐちゃぐちゃに塗り潰されていた。 うぷぷぷぷぷぷぷ!苗木君がどうなっちゃうのか、楽しみだね!絶望してくれるかな?でもなんか……飽きてきた。っていうか何でこんな事してたんだっけ。私は私の絶望のために忙しいのに!その計画に苗木もいれてあげるからね。うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷっ! - - - - - - - - - - |