恋チョコとA
狛苗in食品研究部

放課後、「食品研究部」とプレートの掲げられた部屋に入る。

「おはようございます」

ここにはいる時はいつも「おはよう」だ。
僕が入部した時には既にそう決まっていたし、先輩達もいつから始まったのかは知らないそうだ。

「おはよー」と、思い思いの返事が返ってくる。どうやら、僕が1番最後だったようだ。

「誠は牛乳でいいのよね?」

冷蔵庫の1番近くにいた部長が、お決まりの確認をする。
この部では皆好きな飲み物を用意して、好きなようにお菓子を食べまくる。
食品研究部などとうたっていても、ただお菓子を食べるだけの部活なのだ。

「そうです!まーちゃんはのんちゃんと一緒に牛乳に未来を託すのです!」
「苗木はもう伸びないと思うけどなー」
「そうそう、一生チビだよチビ!」
「そんな事ないのです!きっとまーちゃんものんちゃんと一緒にナイスバディになるのですよ」
「牛乳だけじゃなくて僕にも相談してよ。揉んで大きくしてあげるよ…苗木君限定でね」

猿江先輩も門前仲先輩も僕よりも小さいのに、とつい口から出そうになる。
でもまぁ、のんちゃん先輩が変わりに反論してくれているんだ。変に口を挟まない方がいいと、入部初日に既に学んだ。
そして狛枝先輩にいちいちツッコミをいれても無駄、ということも嫌というほどわかってしまった。

「これで皆揃ったわね?じゃあ今日も部活、始めるわよ!」

部活の挨拶と共に、机に広げられたお菓子が次々と消費されて行く。

「祐樹先輩…僕のやおい棒、美味しいですか?」
「その含みのある言い方をやめろ!」

僕と同じ一年生の夢島クンはやおい棒の会社うまちんの御曹司だそうだ。
よくやおい棒を持ってきて、試食モニターをさせて貰っている。

「全く、ユメも苗木くらい可愛げのある後輩ならな」
「それは…僕にも可能性があるということですよね?祐樹先輩っ」
「どうしてそうなるっ!?」
「やだなぁ、可愛いからですよ」
「あははは、おおしま君さっきのは何かな?どうして苗木君を口説いてたのかな?」
「べ、別に口説いてなんかねぇだろ!苗木だけがちゃんと俺の事をおお『じま』って呼んでくれてみぃちゃんと並ぶショッケンの癒しってだけだ!」
「………オージマ」
「森下さんも正しく呼んでいるじゃない」
「あー、イントネーションのせいで気づかなかった」
「おおしま君、最っ低だね!可愛い後輩の事忘れるなんて!僕だったら自己嫌悪で死んでしまうよ」
「……オージマ、私のこと、忘れた?」
「祐樹、未散を泣かしたらただじゃ済まさないからね!」



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