罪木崩し
※罪木♂→←苗木なので注意
もうこれっきりにしよう、と、何度考えた事だろうか。
自分の下に組み敷いた彼が果てたのを見て、今度こそは一か八を選び告げなくては、と思うのだが、「好きだよ、罪木クン」なんて掠れた声で照れた笑顔で言われてしまっては、もうどうしようもなくなる。せめて嘘だったなら、とも思うのだが彼には嘘をつく理由も意味もない。執着しているのは他でも無いこの僕一人なのだから。
どんどん深みに嵌っていく様な気がして、せめて、もともと会うことの少なかった昼間は、彼と関わらないようにと決めた。
それでも夜になってしまえば、待ても出来ずに部屋を訪れてしまうのだ。全く、なんという醜態だろう。僕みたいなブサイクで頭が悪くてドジで何も出来ない役立たずなゲロブタが、許されるはずが無いのを知っているだろう。
そう、だから、選ばなくてはならないのだ。そして、それは、「それは、苗木さんが選んでください…」そう言うと苗木さんはいつも、「なんでそんな事言うの」なんて悲しそうな顔をする。そんな顔も可愛いけど、僕がそんな顔をさせていると思うと、ゾクゾクが這い上がってきて未だ中に入ったままのそれは硬度を増す。けど。そうじゃない、そんな顔をさせたい訳ではなくて、ああもうどれだけ殴っても好きな所に落書きしてもいいから、僕なんかのためにそんな顔を、しないでください。
「罪木クンは、僕の事が信じられない?」
どこまでも優しい声で、彼はいつもそうだ、誰にでもそうだ。出会った頃の純粋さが、無くならない。僕はどうか、随分と変わってしまった。そうしないと、ダメだった絶望してしまいそうだった。
でも彼は、この事に関して無知なのをいい事にいろんなことを吹き込んでも、毎晩毎晩身体だけを重ねても、何も変わらない。堕としたつもりだったのに、何にも変わらない。
「僕は信じてるよ、罪木クンのこと」そうやって笑うから、僕が積み上げてきた脆い今までが、積木を崩すみたいにボロボロボロボロ、崩れていくんです。
「後戻り出来なくなりますよ。僕みたいなゲロブタと、ずっと関わっていくことになるんですよ。耐えられないでしょう。虫唾が走るでしょう!そうなんでしょう!?」
僕はもう終わりにしたいんです。あなたと居るとおかしいんです。嫌われてもいいから、せめて関心を持って欲しかった。居ない人になるのだけは怖かった。それだけが全てだった。はずなのに、どうでしょう。居なくなってもいいから、せめて夜、苗木さんの隣に居られればいいなんて、おかしいんです。そんなはずは無いんです。居なくなりたくないんです。苗木さんと一緒に居るのが心地良いんです。生きているのがわかるんです。哀しくなるのがわかるんです。一緒に居ない時間がとてつもなく辛いんです。どうしようもないくらい狐疑逡巡して、信じられなくて、信じてて、何も考えられないんです。大好きなんです。
「嫌い嫌い嫌い大っ嫌い!」もう何なのかわからない、脳みそが茹で上がった。わけわからないくらい、がむしゃらに。腰を引き寄せて、振って。
「好きだよ、罪木クン」
初めて見る、悲しそうに伏せた目は放置して、寄せては返す、波の音だけ響く部屋で、素敵に溺れて。



罪木崩し





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誰の曲かわかったらすごい。
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