まほうみたい!





戦争根絶のために戦うって、
所詮きれいごと。


ぽつりと呟いた言葉に
アレルヤがぎょっとした表情を浮かべた。
私はそれに気づかないフリをして、
すばやくガンダムに乗り込んだ。

力の無かった私は4年間
文字通り血を吐きながら訓練をした。
そのご褒美にソレスタルビーイングは
私に新しいガンダムをくれた。

真っ赤に染められたそれは
二度と乗らないとさえ思った
敗北の証、憎しみの対象から
大好きな戦友に早変わりした。




全部、全部大嫌い。



クリスを殺した、
リヒティを殺した、
ロックオンを殺した。


私はこの世界が大嫌い。


だったら目指すべくは
戦争根絶じゃなくて世界の破壊じゃない?


真っ赤な隊服を着て
真っ赤なガンダムに乗って。
あぁ、なんて幸せ。



「リリィ、もうやめよう?」

ここに帰ってきてから
ずっとアレルヤと組んでいるけれど
アレルヤはいつも
泣きそうな顔でそう言うの。


「なんで?まだ生きてるじゃない。」

「もう、戦えないよ。」



そんなの知らない。

クリスもリヒティも
…ロックオンだって

戦えなかった。

戦えなかったのに。




アレルヤの声を無視して先に進む。
そこには逃げようとしている敵が
いっぱいいて。



右手を振るい
左手のボタンを押すだけで
周りの機体がガラクタになる。
通信回線を開いておけば
命を乞い泣き叫ぶ声が聞こえる。

全部が全部、私の好きな色になる。



まほうみたい!

みんなおそろい、なんて幸せ。


2009.02.21
愛が深いと後が怖い



- 12 -


[]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -