不安な夜も
─ザザァ…ン……─
波の音が静かに聞こえる。
私は暗い海を見つめながら浜辺に佇んでいた。
「……リリィ」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえてゆっくりと振り返った。
『…ロックオン』
「こんな時間にこんな所で何してるんだ?」
『…ちょっと眠れなくて…。いろいろ考えてたの』
「…悩み事か?」
『そういう訳じゃないんだけど……最近思うの。私達のやっている事は本当に正しいのかって…』
私はそこで一呼吸おいて少し目を閉じた。
『…私達が武力介入したことで世界中の紛争は減少してる。でも、それは一時的なものでCBがいなくなったら紛争がまた始まって、もしかしたら今よりも戦争が拡大してしまうかもしれない。もしそうなったら私達がしてきたことはただのテロ行為になってしまう。…そう思ったらこのまま武力介入を続けていいのか考えちゃって……』
私がそこで黙り込むと、それまで黙って話を聞いていたロックオンが静かに口を開いた。
「…俺達は戦争根絶のために戦ってるんだ。たとえ俺達のやり方が間違っていても、行動を開始した以上前に進むしかないんだ。……テロリストと言われようとな」
『…………、』
二人の間を静かに風が吹き抜けた。
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