もしも願い一つだけ叶うなら
「ハロになりたい」
「………は?」
なんだか急に会いたくなって
朝っぱらに押しかけてから
一心不乱に描き殴っていた
ロックオンの部屋を
埋め尽くさんばかりのハロの絵
それに使用していたオレンジのクレヨンが
無くなりかけた時だった。
私がぽつりと呟いた台詞に
ロックオンが怪訝そうにこっちを見た
「リリィ…いきなりどうしたんだ?」
「だから、ハロになりたいの」
そう言うと完成したハロの絵を
ぽいっと投げ捨てて新しい紙を手に取った。
「うちに来てからずっとハロの絵を描き殴ってるから
てっきりハロが何かしたのかと思ってたぜ」
そう言うとロックオンはすっと戸棚を開け
『タスカッタ!、タスカッタ!』
と騒ぐハロを抱えてきた。
「別に…怒ってなんかないわ」
私はそう言うと短くなったクレヨンを
ハロに目掛けて投げつけた。
そして
『イテーナ!イテーナ!』
と騒ぐハロを慌てて戸棚に隠すロックオンに
「どっちかと言えば羨んでいるのよ」
とぽつりと呟いた。
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