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「真田に先帰るって言うといて」
それだけブンちゃんに伝えて、俺は走りだした。そういえばどこで待ち合わせをする、と言っていない。姓さんが、いや、名ちゃんが待ちくたびれて帰ってしまったらどうしよう。
部室の周りにはいなかった。コートにもいなかった。やはり、門?俺は早歩きで門まで向かった。群がる女子から外れて背を向けたふわふわパーマ。ああ、見つけた。
「あの、仁王くん、ちょっといいかな」
名ちゃんに夢中で駆け寄ってきた女子に気づかなかった。俺と同じクラスらしいが、どうでもよかった。
「すまんが俺、人待たせとるけ」
名ちゃんが、こっちを見ているのだ。


一分一秒が、惜しい。

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