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部室で着替えてコートに向かう途中、他校の女子二人組を見た。いや、他校の女子なんて珍しいものじゃないが。だがその制服を見て、もしかして、と思った。あれは仁王が惚れたらしい女子と同じ制服だ。そして俺の天才的直感が働いた。あいつだ、と。
「あれ、お前もしかして仁王の彼女?」
リンゴみたいに顔を真っ赤にさせたそいつに、予感は的中した。

「今日名ちゃんが立海に来とったぜよ!」
そう言って練習に戻ってきた仁王は心底嬉しそうに笑った。花が周りに飛び回るほどだ。真田がこっち睨んでるからあんまでっかい声出すなよ、と言っても今のこいつには無理だろう。
「ほんで俺がサボってたとこに来てくれたんじゃ」
「へぇーマジで?」
「名ちゃんのアドレスも教えて貰ったナリ」
いつのまにやら名字呼びから名前呼びに変わっているのに気付いた。アドレスとかまだ聞いてなかったのかよ!とかいうツッコミは野暮だ、と思った。
「練習終わったら一緒に帰ることになったぜよ」
「え、マジかよ」
仁王はこんなに嬉しそうな表情を見せるのか。心なしか後ろで結われた銀髪が犬の尻尾のように見えた。姓名恐るべし。つーか俺が天才的に協力してやったからそうなったんだっつの。俺優しいから黙っといてやるけど。


貸しを貯めて、いつか何か奢ってもらうからいいけど。

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