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「姓、です。姓名」
夢かもしれない、と本気で思った。彼女が、姓さんが、一言何か呟く度に俺のアドレナリンが増える。即ち寿命が縮まる。でも彼女が原因なら本望だ。

「におー、くん?」
俺はいつ自己紹介したのだろう。彼女が俺の名前を呼んでいる。俺の名前はこんなに綺麗な響きだっただろうか?嬉しいのと同時に、どんどん強欲になっていく。
「あの、私、嫌だったんじゃないの」
か細い声に、耳をすませる。そして彼女の言葉をひとつひとつ理解していく。
「ちょっとびっくりしちゃって、」
嫌われては、いない?
「あの、それで、」
段々と声が小さくなっていく。
「お、お友達から、でもいいかな…?」
神様、ありがとう。俺明日死ぬかもしれない。


そして浮かれた俺は、連絡先を聞くのを忘れる。

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