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家に帰って、今日一日起きた出来事を振り返った。そして急に心臓が高鳴った。朝の駅、銀髪のお兄さん、立海の制服、山のような課題、夕方の駅、ニオウマサハルくん。一生のうちで起きそうなハプニングが、一気に起きてしまった気分だ。いかに私が平和呆けした生活を送っていたかがわかる。
帰るのが少し遅かった私に、お母さんはいつも通りの対応だった。
「名、ご飯よ!」

夕方のドラマの再放送はお母さんが録画しておいてくれた。ご飯を食べながら見る。我ながら、行儀が悪い。テレビの中では、時代を感じるファッションの男女がキスをしていた。
「好きだよ」
そう囁いた俳優に、マサハルくんが被った。そして一瞬息が止まって、食べてるものが気管に入ってしまった。
「やだ、汚い」
まったくその通りである。

それから寝るまでは特に何もなかった。それでもやはりマサハルくんの顔がちらついて、恥ずかしくなった。やっと冷静になれたのはベッドに入ってからだった。

(そういえば、連絡先聞いてないなあ)

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