text | ナノ




from 忍足侑士
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怒ってる?

なんで?

from 忍足侑士
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なんとなく

別に怒ってへんよ
部活優先させて正解やと思うで

from 忍足侑士
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ごめんな


「ごめんなって何やねん」

メールは好きやないからあんまり話題は広げへん。大事な用事は電話する。メールがめんどくさくなったら電源ボタンを押す。

だるい。なんやイライラする。泣きそうかも。

思えば侑士が大阪に帰ってきたのはいつやったやろう。お正月?いや、ゴールデンウィーク?

まあほぼ半年以上、下手すれば一年弱会っていない。電話はちょいちょいするけど、会って話したのはいつや。何月何日?

「ほんま病むわ」

大きい独り言。勉強せなあかんのに。疲れた。今日はもうええ。寝る。

ピロピロピロピロ
電話。白石からや。

「名ちゃん絶賛病み病み中でーす」
『何言ってんや自分』
「ご用の方はピーという発信音の後に、」
『病んでると思って連絡してあげたんやけどいらんかったみたいやな』
「冷やかしはいらんで」
『まあまあそんな恋する乙女な名ちゃんもかわええで』
「白石に言われたかて嬉しない」

なんでこんなに喪失感に襲われてるんや。意味わからん。

毎日忙しくテニスに励む侑士に会えるのを、ちょっとでも期待したから?

「あーもうあたし疲れてんねん」
『めっちゃ嬉しそうやったもんな』
「いや別に期待してへんし」
『ユーシくんが来るの期待してたん?』
「…」

いらっとする。

「なんでもええやろ」
『まあそう一人で悩みなや』
「……だって侑士が」
『うん』
「あたしに会いたいとか言うから」
『うん』
「あたしも言ったけど」
『かわいいな名』
「やかましわ。やからな、謙也に侑士んとこ帰ってくるって聞いたから期待してもうてん」
『そら期待するわな』
「やろ?」
『で、ユーシくんから何か連絡あったん?』
「ごめんなって言われた」
『ほーう』
「意味わからん」
『ユーシくんも会いたかったんやって。せやから俺も会いたいけど練習試合抜ける訳にはいかへんから行かれへんねんごめんなってゆうことやろ?』
「うーん…」
『そんな勝手にイライラしーな。ユーシくんも名に会いたいんやから』

…なんか一方的にイライラしてる自分がちょっとあほらしくなってきた。さすが白石。いや、白石にさすがはむかつくかも。まあええ奴なんは認める。

「侑士にメールするわ」
『そうしたり』
「うん。またよろしく」
『任せとき』

白石に感謝。心の中で。



持つべきものは友達







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