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「寒い期間が長く続きましたが、明日からは暖かい日が続くでしょう」
いつも見ているニュースのお天気キャスターのお姉さんが言った。なんだか悪寒がする。
名に会いたい。
朝早い時間だった。まだ外は薄暗い。風も冷たい。
外に出ると、少し離れたところに、財前がいた。
「…おはよーございマス」
「どげんしたと」
「千歳先輩に言うた方がええ思て」
寒そうに肩をすくめる財前。風がひゅう、と通り抜けた。
「名さん、そろそろ消えはるんちゃいますか」
「…!」
「なんやわからんけど、そんな気ーするんすわ」
財前は下を見ている。薄暗いこともあって、表情が伺えない。朝から感じた悪寒はこれか。だが、妙に落ち着いている。俺も、財前も。
「名さんのとこ、行ったってください」
「わかっちょる」
柄にもなく全速力で走り出した。財前はどこか寂しい顔をしていた。
「千歳先輩、俺も名さんのこと好きやったんすわーって聞こえへんよな」
さようなら。おおきに。

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