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「すきです!けっこんしてください!」
わたしがプロポーズされたのは小学校一年生の時。意味がわからず、わたしは顔を真っ赤にさせて俯いた。はやす男子たちの声が余計に恥ずかしさをかき立てた。

「ふふ、わたしまだ覚えてるよ。一年生のときのこと」
小学校の卒業式が一通り済んだ後、わたしは彼に言った。彼は当時のわたしのように顔を真っ赤にしてうなだれた。どうせ中学も一緒だ、と笑っていた。

「貴女はまだあの時のことを覚えていますか」
中学校の卒業式で彼は言った。思春期真っ直中で、当時彼氏もいたわたしは何のこと、と嘘をついた。彼は少し悲しそうに笑った。

「わたし、嘘ついた。覚えてるよ、ずっと、覚えてた」
就職が決まっていたわたしは、必死で彼に伝えた。主語も何も無い、だけどずっと心に引っかかっていたこと。彼は医大への進学が決まっている。もう毎日会えなくなる。そう考えるだけで締め付けられるような思いだった。
「名さん」
彼はいつものように優しい笑顔でわたしの頭を撫でた。
「私が卒業するまで、結婚は待っていてくださいますか?」

120120
終点

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