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深夜のよくわからないテレビドラマを眺めていた。内容は頭に入ってこない。それよりも、あの時の、あの瞬間、ニオーくんにすき、と言ってしまった瞬間が、ずっと繰り返し頭に思い浮かんでいた。


「…名ちゃん、」
私は恥ずかしくて仕方なかった。ニオーくんが名前を呼んでくれたことも恥ずかしくて、ニオーくんのほっぺたが少し赤いのも恥ずかしくて、電車の中で掴んだ腕が離せなかったことも、恥ずかしかった。
「ほんとに、言うとる?」
ニオーくんの顔をまともに見れないまま、腕を掴んだ手の力を抜いた。
「会っていきなり好きって言われたのは本当にびっくりしたの、怖かったの、目つきとか髪の毛の色とか、」
ずるずると、手がニオーくんの腕を滑り落ちていく。
「でも本当はすごく優しい人なんだな、って思ったの」
手をニオーくんから離そうとした。これ以上彼に触れていたら、もう二度と離したくなくなってしまいそう。自分がどんどん欲張りになっていくのが怖かった。

ニオーくんの手が私の手を掴んだ。一瞬の出来事。驚いて肩が揺れた。
「…ねえ、ほんとに、言うとる?」


ゆっくりと見上げた色素の薄い彼の目は、まっすぐに私を見ていた。

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