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幼稚園の頃からずっと男の子は苦手で、遠い存在だった。彼氏が欲しいと思わなかった訳ではないけど、自分から男の子に近づくなんてこと、出来るはずがなかった。だから、今私が知り合って三日目の男の子と隣同士で歩いているなんて、信じられない。
「お前さん、これから何か用事あるか?」
「ううん、何もないよ」
「なら、駅まで遠回りせんか?」
しかも、こんなにかっこいい人の隣を歩いているなんて。

「におー、くん」
見たこともない住宅街をゆっくり歩く。私は歩くのが遅い。ニオーくんは、それに合わせてくれている。
私はずっと気になっていたことを聞いてみたくなった。
「どうして、私を?」
主語も述語もない、日本語の成り立たない文章。心臓が爆発してしまいそう。
「……ひみつじゃ」
少し夕日が眩しくなってきた。ニオーくんの顔が赤いのは、日差しが当たっているからなのか、他の理由からなのか。


駅は、もうすぐそこ。

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