山吹乙女成り代わりのボツ話
山吹乙女成り代わりイラストボツ

『鯉伴のこと、好き、じゃないの…』
「あ”?」

 どす黒い、そんな一言が聞こえて、振り返ると、異様に輝いた笑顔で私を見る鯉伴。サーッと私から血の気が引いた。
 ーー三十分程前。私は氷麗ちゃんとお話してた。奴良家に来て数週間。鯉伴はひっついてくるけど、それに私が素直になれるわけもなく、鯉伴を突っぱねて、逃げる日々が続いてた。で、氷麗ちゃんはそんな私と鯉伴のことについて興味しんしんらくしく、すごい突っ込んで聞いてきた。それにたどたどしくも、答えられるところだけ、答えてゆく。

「二代目のことが好きじゃないんですか?」

 そして、冒頭に戻るのです。

「ほお…おめぇは、オレのことが好きじゃねぇのか?そうかそうか、それは知らなかったなァ?」
『ひ…っ!』

 そう言って、私に詰め寄る鯉伴の目は笑ってない。口元は無理矢理弧を描いてるのに。それがいっそう怖い。

「おい、氷麗。」
「はいぃ!わたしは食事の支度がありますので!」
『えっ?』

 ごゆっくり〜!なんて言って、氷麗ちゃんがいなくなってしまいました。ということは、私と鯉伴は二人きりなわけであって。


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bkm
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