考えてみた。
私のどこが男らしくないのかを。
結果。一人称を変えてみることにした。
『ぼく、僕、俺、おれ、おれさま、うーん…』
「なに考えてんだよ?」
『ん?いや、男らしく振る舞うために一人称を変えてみようかな、と。私にはどんな一人称が似合うと思う?』
部屋のベッドの上で悶々と考えていると、後ろからシリウスがきたのでそう答える。
すると、一緒に悩んでくれる彼に、思わず笑顔がこぼれる。
ああ、私は本当にいい親友を持った。
「とりあえず、俺様はねーよ」
『…そうかい?』
「俺が俺様使ってたら、」
『気持ち悪いね!』
「即答かよ!」
『あはは!』
シリウスとのやり取りに声を出して笑う。
ムッと口を尖らせたシリウスがおかしくて、一緒にいると幸せだ。
『ああ、私は君といられて幸せだよ』
「…んなこというから、エヴァンスに勘違いされんじゃねえの?」
『心外だね。私はエヴァンスにこんな言葉かけないさ。』
「…ばーか」
『君って、よく失礼なやつって言われないかい?』
本当のことを言っただけなのに、なんで馬鹿にされたかわからない。
エヴァンスに幸せだなんて言うはずないよ。
彼の幸せを望むなら尚更ね。
「なあ、一人称変えなくてもいいと思うぜ」
『本当かい?』
「ああ。おまえは今のままで充分だ」
『シリウスがそう言うなら、私は今のままでいようかな。』
この心地よい空間がいつまでも続けばいい、そう願った。
まあ、そんな願い虚しく、五分後に部屋に入ってきたエヴァンスに邪魔されるんだけど。
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bkm