「ジェームズ、」
『……私をその名前で呼ばないでくれるかな、エヴァンス。』


クィディッチの選手に選ばれた。
あの箒で飛んでいるところを先生がいいと思ったらしい。

ふむ。やはりジェームズとしての身体は才能があるのか。女なのに。
なんて、のんきなことを考える。

シリウスたちと別れ、一人でいる時だった。
エヴァンスに話しかけられた。


「ちょっと話があるんだけど」
『私にはないんだが』
「君って、なぜ僕にそんなに攻撃的なの?そんなに女の子って言われたことが気に入らなかった?」


眉を下げ、緑の瞳の中に困惑の色を見せながらそう言ったエヴァンスにドキッと心臓が高鳴る。

…ダメだ。飲み込まれる。
きっと、この高鳴りは彼に対する本当の心だろう。だが、私は信じたくない。信じられない。

リリーが男だなんて。
ジェームズが女なんだ。リリーが男だってことくらい受け止めればいい。

だが、それを受け止めたら、今まで必死に男として、ジェームズとして生きた自分が否定される気がする。

だから、私はいまだに真実を受け止めない。


『…ああ、そうだね。私は男だ。私よりもよっぽど女みたいな君に言われたのには、ムッと来たよ。』
「ごめん、そのことは謝るよ。…でも、僕はジェームズが女にしか見えないんだ。」
『っ、だから!私を名前で呼ぶなと何回いったら…』
「僕、君のことが好きになっちゃったみたい」

『……………へ?』


あまりの衝撃に素が出ちゃったのはしょうがないと思うの。


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bkm
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