無事魔法学校前に着くと、ハグリッドが私たちを魔法学校へ案内する。
やはりシリウスたちは私が女だということには気付かない。
あの男がおかしいんだな、うん。

そして、いまは組分けの時間。
椅子に座って、頭の上に組分け帽子を乗せる。


「ほう…君は不思議な子だね」


一番始めに組分け帽子の発したその言葉ビクリと肩を揺らした。


「ふむ、君はなかなか難しい。女を男と偽る君を狡猾なスリザリンにするか、それともその魂に従ってグリフィンドールにするか…」

「いや、君は彼の人生を奪ったんだから、スリザリンにすべきか…」
『ーーーっ!!うるさい!!!』


帽子の声に頭に血が登る。
なんと言った、この帽子は。
すべてを知ったうえで、その言葉を言うのか。
私の心を覗いた上で!!


『おまえになにがわかる!私はジェームズ、ジェームズだ!』
「ジェームズ・ポッター!おやめなさい!」


帽子を持ち上げ、杖を持つ。
燃やしてやろうか、この帽子を。

私の愛おしい彼を話に出したこの帽子を。

杖を先生に没収され、抑えつけられる。ムカつく、ムカつくムカつくムカつく!


「ふむ。やはり、そう来たか。」
『このボロ帽子…!』
「ジェームズ・ポッター!口を慎みなさい!」


ギリッと唇を思いっきり噛む。

そうだ、落ち着け。
私はジェームズ・ポッター。
激情し、振る舞うんじゃない。

落ち着け、落ち着け。

私なら、できるから。


『先生、申し訳ありません。』
「まったく…いきなり帽子に杖を向けるとは何事ですか!」
『ちょっと帽子に馬鹿にされて、怒っちゃいました。もう、平気なので。』
「いいですか、ジェームズ・ポッター。この帽子は神聖な帽子です。以降、このことがないように!」
『…はい』


にっこりと、ジェームズの仮面を貼り付けて、私は微笑んだ。


「グリフィンドール!!」
『ふん』


そう言うならば、最初から挑発しなければいいものを。

先にグリフィンドール席に着いていたシリウスとピーターに笑顔を向けながら、心の中でそう吐き捨てた。


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bkm
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