「ナマエ、」


ルフが寝ようと思って、自分の部屋からマスルールの部屋へ抜け出そうとしていると、後ろから聞こえたシンの声にビクリと身体を震わせる。


『!…シンだー。どうしたのー?』
「ん?一緒に寝ようかと思ってな。」


その言葉にイヤと首を振る。
ルフ、マスルールと寝るんだもん。


「今日は俺と一緒に寝ないか?」
『……明日、ジャーファルとも寝ていーい?』
「あぁ。」
『じゃあいいよー!』


いつも一緒に寝れないジャーファルと寝てもいいなら、シンと寝てもいっか!と思ってニコニコ笑いながら、ルフはシンと手を繋いでシンの部屋へ向かった。



ゴロンと寝台に横になると、今まで気付かなかったけど、シンのルフがさみしがってることに気づいた。


『シン、どうしたの?ルフがさみしいって。』
「あぁ…そうだな…、少し、疲れた。」


シンはさみしいの?
ルフの仲間がね、さみしいって泣いてるの。
ルフの仲間が泣いてると、ルフも悲しくなる。


『よしよし。』
「なんだ?」
『昔、一緒にいた人が言ってた。さみしい時はね、誰かと一緒にいればいいんだよって。ルフね、さみしいってわかんなかったけど、マスルールとかと過ごすようになってからね、さみしいってわかるようになったんだよ。だからね、シンがさみしくないように頭撫でてあげる。』


シンの頭を撫でてあげると、シンがルフを抱きしめてきたので、ルフもぎゅーっと抱き締めかえす。

人の体温が心地よくて、ルフは気付いたら寝ていた。


シンドバッドSide

自分の目の前で無防備に寝顔を見せるナマエを見つめながら、今日ジャーファルに聞かれたことを思い出す。


「シンはナマエをどう思っているんですか?」


それに俺はなにも答えられなかった。

彼女を大切だと思う。けれど、心のどこかで価値のあるモノだと思ってる自分がいる。
そう思ってしまう俺が、彼女を大切だと思っていいものなのか。

ああ、けれど彼女の側は、


「こんなにも心地いい」


透き通るように白い彼女の髪を撫でる。
彼女といると、自分の心の醜さが浮き彫りになった気がしていた。

そうではないのか。
この娘は、この醜さすらも癒す。
その罪であるほどに、無知で無垢な瞳で。


「俺は、この子が大切だ」


ジャーファル、今度聞かれたら、俺はそう答えよう。


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bkm
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