わたしが笑うと幻も嗤うの


わたしの言葉にイリュージョンの口角が上がるのがわかる。
ああ、嬉しいんだ。

“オモチャ”を刻めることが。

イリュージョンが愉しんでるのが分かると、わたしも自然と微笑む。


「はい、柚子様!お任せくださあい!」
「ま、待て!助け、」


助かるかと思ってた男が、絶望した顔で叫ぶ。

きっとイリュージョンのことだから、たくさん刻んだりするんだろうな、なんて考えながら、男の叫びを無視して、男の子のところへと向かう。


「ぅ…」
『大丈夫?』


そう問いかけると、男の子はキラキラとした瞳でわたしを見てから、イリュージョンの方を見た。


『?見たいの?』
「……(コクリ)」


頷いた男の子を抱き上げて、イリュージョンのもとに近づく。


「あはは。その顔ウケる。」
「だ、だじゅ、」
「だあめ。柚子様の“お願い”だからね。」


そこでは、とても楽しそうな声色をしたイリュージョンが男の肌を生きたまま剥いてた。

痛そうだなぁ、なんて思うけど、それだけ。それ以上の気持ちは湧いてこない。


「あれ?柚子様、その子はどうしたんですかあ?」
『あのね、イリュージョンの殺してるところ見たいんだって。』
「ふーん…」


イリュージョンはチラリと、わたしの腕にいる男の子を見てから、虫の息の男を見た。


「お前は、さっきまで自分が殺そうとしてたガキに見られて死ぬんだよ。かわいそうに。」
「う”ぅ、」
「まあ、もう死のうか。柚子様を待たせるのって嫌いなんだ、私。」

ばいばあい

ジュッ、

皮膚を剥がした頬に、火の付いたマッチを落とす。
劈くような悲鳴が響くと男は絶命した。


『楽しかった?』
「……(コクリ)」
『君は喋れないんだね。あとで、言葉教えてあげる。』
「柚子様、それは連れて帰るんですか?」
『うん。』


首を傾げたイリュージョンにとびっきりの笑顔で言葉を返した。

(21/22)

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -