狂気に駆られる 心が晴れない。 ドロドロとした気持ちがわたしから離れなくて、 血が見たい。なんでもいいから。 そう思ってナイフを探すけど、途中で自分の腕を切ったら、ケロちゃんに怒られることに気付いた。 『イリュージョン、』 「はい。」 『一緒に外行こ?』 「喜んで!」 フードから少しだけ見えるイリュージョンの、弧が描かれた口元に、わたしは笑みを零した。 ▽ 外に出ると、たくさんの男の人たちが小さな男の子を囲っていたのが見えた。 ちょうどいいや。 そう思ってソードを取り出すと、次々に男たちを斬る。 首を胴体と離したり、動脈を切ってみたり。 わたしの代わりに流れる血が、わたしを落ち着かせてくれる。 たくさんの血がわたしに降り注ぐ。 血を見て落ち着くなんておかしくなっちゃったんだなあ、なんて、そんなのは今さらだから。 「ひぃっ!や、やめてくれっ!」 そう言って、顔をぐちゃぐちゃにしながら命乞いする最後の一人である男をただ黙って見つめる。 汚い、顔。 『死にたくないの?』 「! あ、あぁ!だから助けてくれ!」 ドロドロとした気持ちを隠してにっこりと笑う。 優しく優しく明るく。まるで桜ちゃんみたいに。 「柚子様、助けるのですか?」 不安そうな声色でそんなことを言うイリュージョンに、とびっきりの笑顔を見せる。 『イリュージョン、この人死にたくないんだって。』 「…?」 『だから、少しでも長く生きれるようにヤッちゃって?』 「……!!!」 コテン、と首を傾げながら、ニッコリと笑ってイリュージョンにそう言った。 |