風が舞い、花が微笑む


「ただいまー!」「ただいま。」
「だぁぁあ!!ここはどこだよ!!」


ウインディとフラワーと一緒に家の周りに花を植えていると、大きな声が響いた。


「主様、ウボォーたち帰ってきたわ!」
「ふふ、フラワー、花が飛んでるわよ?」
「だって楽しいんだもの!」


くるくると、フラワーが花を飛ばしながら笑う横で、ウインディは微笑みながら、風を起こして花をふわふわと浮かべる。

二人の姿はまるで妖精のようで、綺麗だった。

ふわふわする気持ちで二人を見ていると、ウインディが「主様?」とわたしを呼ぶ。


『あ。わたし、ちょっと行ってくるね』
「いってらっしゃい。」
「あ、主様!これ、リビングに飾っといてください!」


フラワーが渡した花束を持って、わたしはニコリと笑いながら頷いた。



『け、ケロちゃん…、』
「おお、柚子。どうしたんや?」


爽やかに笑みを浮かべるケロちゃん。
きっと、他の人から見たら好青年なんだと思う。

けど…

『さすがにそれはまずいと思うの…』


その手に持ってるのは、ウボォーとフランクリンともう一人、大きな刀を持った男の子。

しかも三人とも何故か涙目。


「「柚子さん!!」」
「お前誰だよ、」
「お前、やと?躾なってへんなァ…」


助けを呼ぶように、わたしの名前を呼ぶウボォーとフランクリン。茫然としたように、涙目の瞳でケロちゃんを睨みつける男の子。
そして、それを笑顔で凄むケロちゃん。


「あ、姉さん。」
『クロロ、』


クロロはのんきに本なんて読んでる場合じゃないと思うの…、





「…ノブナガ=ハザマだ。」
「あ”?です、やろ。敬語使わんかい!」
「………ノブナガ=ハザマだ、です…」


…どうしよう。
ケロちゃんがケロちゃんじゃない。
なんだかただのヤクザさんだよ…

いつもは敬語か敬語じゃないかなんて気にしないのに、どうしたんだろ。


「寝起きだったんだよ。」
『あぁ。うん。わかった。』


クロロの言葉になんだかいろいろわかった。

ケロちゃん、寝起きで不機嫌なのと、寝てるときに大声を出されたことに怒ってるんだ…

変わらないケロちゃんに笑みを零す。
それから、ノブナガに目線を合わせるように中腰になった。


『これから、よろしくね。ノブナガ。』
「は、?おれ、まだここに住むなんて…、」
「住むやろ?」
「…よろしくお願いします。柚子さん、?」
『うん。よろしくね。』


フラワーに渡された花束を持ちながら、ノブナガに笑いかけた。

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