それはもう止められない自殺衝動 『ケロちゃん。』 「なんや?」 『拾っちゃった。』 「………なにしとんねん!!」 クロロを拾って一年。 わたしとケロちゃんとカードとクロロは流星街の一角に住んでる。 そしてある日。クロロと買い出しに行くと、子どもが何人かいた。 いたんです。 わたしと同じ瞳をした子どもが。 『なので、拾っちゃいました。』 「なので、になんてならんやん!」 『だって……』 「だってやあらへん!元の場所に返してきぃや!」 そう言って出口を差すケロちゃんの瞳をジッと見る。 だめ?拾っちゃだめ? アカン。 ……本当に? アイコンタクトで話すわたしとケロちゃん。そんなわたしたちを不思議そうに見上げるクロロと子どもたち。 「……風呂入れてきぃ。」 『!ケロちゃん、ありがとう!』 ケロちゃんに笑顔でお礼を言うと、拾ってきた子どもの背中を押してお風呂場に向かった。 『わたしも入ろっかな…』 「あかんからな!」「姉さん、それはまずいよ。」 クロロとケロちゃんに同時に止められたから、我慢したいと思う。 わたしの身体は全然成長しない。 もう、ここに来て何年も経ったのに、身長も髪も少ししか伸びない。17歳になったんだから、もっと大きいはずなのに。 すくすくと育って、わたしの身長に追いついてきているクロロと比べると、成長は止まったまま。確か、クロロってまだ六歳だと思ったんだけど… なんだか、悔しいな。 「なぁ、なんであんたは俺たちを拾ったんだ?」 そう聞いたのは、確かウヴォーギンと呼ばれていた子ども。 わたしと同じくらいの身長を持ってる。 『なんとなく、だよ。』 「でも、俺たちなんか拾っても意味がない。」 フランクリンと呼ばれていた男の子がそっと呟く。 その呟きにフワリと私は笑う。 『別に、意味なんてないもの。ただ、いたから拾っただけ。ほら、早くお風呂入ってきてね。』 そう言って、また子どもたちの肩を押すと、お風呂場に詰め込んだ。 なんで子どもたちを拾ったのか。 そんなの、わたしだってわからない。 ただ、自分が善人だって思いたかっただけかもしれないし、彼らを拾うことで、桜ちゃんの償いになるかもしれないって思っただけだったのかもしれない。 結局、わたしって、最低な人間なんだね。……ああ、死にたいな。 手首の傷を触る。 それに思いっきり爪を立てた。 ちょっと痛いくらいが、気持ちいい。 こんなこと、しちゃダメだって分かってるけど、死にたいって欲求が消えてくれなくて、わたしは自分を傷付けることをやめられない。 「姉さん、」 『クロロ……』 後ろから名前を呼ばれて振り向くと、そこにはクロロがいた。クロロの瞳がわたしの手首に釘付けになる。 それにハッとして手首を後ろに隠した。 「また、やったの?」 『っ、お願い…ケロちゃんには言わないで。』 「…手当てしよう。」 クロロはそう言ってわたしの手首に消毒液をかける。消毒液が沁みて、ピリリと身体に痛みが走る。 ケロちゃんに、バレたらまた怒られちゃうかな。 さくらでいた時よりも、増えた手首の傷痕に自嘲するように自然と微笑んだ。 |